【漫画】犬派の人が猫派に傾いた瞬間は? “変だけど愛しい”が止まらない「猫とわたし」

もともとは名前さえないキャラだった
――『猫とわたし』を制作した経緯を教えてください。
うつろ:もともと「星野さん」というキャラクターが主人公の物語をいくつか描いているのですが、「猫とわたし」はその中のひとつです。それまでに描いた2つの物語がそれぞれ6ページと短かったので、「もう少し長い物語を描きたいな」と思って、いつもよりもちょっと長い16ページの本作を制作しました。
——ちなみに、独特なビジュアルの星野さんですが、どのようにして生まれたのですか?
うつろ:以前連載していた別の漫画の脇役として生まれたキャラです。名前も出てこないような脇役中の脇役だったんですけど、とても気に入っていて…。
――お気に入りのキャラをメインにしたのですね。
うつろ:はい。私は趣味でチェコ語を習っているのですが、クラスメイトの60代の男性のエピソードがとても面白くて、「これを漫画にしたいな」と思って、その時のキャラを星野さんとして復活させて描いてみました。それが「星野さん」の第1話です。その時に初めて名前もつけました。
――いろいろな縁や思いがあって描かれた作品と。
うつろ:そうですね。今では星野さんは、最初の脇役キャラとも、また影響を受けた男性とも違うキャラクターとして育っています。また、「いろんなグッズを作りたくなる」と思い、その都度「10月社」というオンラインショップで販売しています。
――本エピソードでは「星野さんが猫と出会う」という内容でしたが、この展開にした理由は?
うつろ:星野さんは多趣味で、休日には小説を書いたり運動をしたり勉強をしたりしています。「そんな星野さんの充実した休日を、邪魔する者が現れたらどうなるかな?」と思って描いてみました。
星野さんは不器用な人間
——作中の何とも緩やかな雰囲気を作るうえで意識していることは?
うつろ:星野さんというキャラクターが、物事を何でも解決するスーパーマンにならないように気をつけました。「出会った人々の何か力になりたい、助けてあげたい」と行動するけれども、上手くいかない不器用さ、人間らしさを描くことを意識しています。その上でセリフやコマ割りなどは、読む人の頭に自然に入っていけるよう、流れるように読めるように気をつけています。
——作画で意識していることも教えてください。
うつろ:絵はずっと下手なので、「上手くなりたい」といつも思っています! 意識していることで言えば、「何を描いているのかわからない」ということがないようにすることです。でも、よく「これは何?」と聞かれます……。
——作画ですと、ヨーロッパのような背景も魅力的でした。
うつろ:「ヨーロッパをモデルにした」とかではないのですが、古い街並みが好きなので、なんとなく好きな感じになってしまうのかもしれません。でも、星野さんは団地に住んでいる設定なので、舞台は日本なんですよね。
――今後はどういう作品を描いていきたいですか?
うつろ:「星野さん」シリーズは今後もずっと描いていきたいですし、年相応に中年女性を主人公にした物語なども描いていけるといいなと思っています。ぜひお仕事お待ちしています!
©︎utsuroakiko
◼︎うつろあきこプロフィール
半年間の出版社勤務を経て漫画家に。主な作品に『3回まわって恋をして』全3巻(講談社)、『宇宙屋台へおいでませ』全2巻(小学館)、『かわいいきのこ』(イースト・プレス)などがある。最新のZINEは『徒歩で行く、船で行く』
オンラインショップ10月社: https://jugatsusha.base.shop/
Instagram: @utsuroakiko_anime






















