韓国・ソウルの秋から春の街並みを収めた写真集『サランラン 사란란 (Sa-lanlan) 』

写真家・川島小鳥が韓国・ソウルで撮影した写真集『サランラン 사란란 (Sa-lanlan)』を2025年5月に青幻舎より刊行される。
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本書は季節の移り変わりの中で捉えられたソウルの多様な表情と、写真家の新たな視点を提示する作品。
韓国・ソウルの秋から春までの限られた時間のなかで撮影された本書。写真家・川島小鳥が、そこで触れた夜の街、澄んだ空気、漢江、寂しさ、ひしめく情熱、出会った人たちーー。
ひとり研ぎ澄まされて歩いた街がだんだん馴染んで、すこし優しくなっていく。凝縮と解放の写真たち。川島小鳥の静かなる魂の叫びと優しさが溢れ、これまでとは異なる新たな世界を感じさせる写真集だ。
■サランランに寄せて
2023年の秋、個人的な衝動でソウルを訪れ、街を散策したり、夜の街をぶらぶら歩いたりした。東京と同じような都市なのに、ハングルが全く読めなくて、知っている人がいない街を、秋の澄んだ空気の中いるのは、なぜか心地よかった。
高校生の頃、ソウルの学校に2週間だけ留学したことがあり、その時の冬の始まりの冷たい空気と、同世代の学生たちの温かさを、思い出した。
ソウルのイチョウが東京よりも濃い黄色に見えること、噂に聞いた冬の寒さを実際に体験してみたいと思った。その時に感じていたさみしさ、をちゃんと感じてみたいと思った。
この場所でカメラだけを持って、春が来るまでのあいだ写真を撮ったらどんなことが起こるのだろう。
ソウル駅のすぐ近くの場所に、ものすごく昔の家が残っていること。普段は行かない、おしゃれなパン屋に行ってその味に感動したこと。路地裏のコーヒー屋のおばさまの瞳が美しすぎて後で少し泣いたこと。韓国料理が好きなのに、3日目にはパスタやピザが食べたくなってお店を探したこと。いろんなことが思い出されるけれど、写真には写らないことばかりかもしれない。
けれど、半年間で出会った人たちの美しい魂、さみしさの中で確かに感じた、生きているという実感。写真をとる喜び、写真というものを通して起こる静かなる歓喜が、「サランラン」を通して届くと嬉しいです。
川島小鳥
■ プロフィール
川島小鳥(かわしま・ことり)
写真家。早稲田大学第一文学部仏文科卒業。
主な作品集に『BABY BABY』(2007)、『未来ちゃん』(2011)、『明星』(2014)、谷川俊太郎と共著『おやすみ神たち』(2014)、『おはようもしもしあいしてる』(2020)、『(世界)²』(2021)、『s(eoul mate』(2024)。第42回講談社出版文化賞写真賞、第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。
■書誌情報
発売:2025年5月中旬
書名:サランラン 사란란 (Sa-lanlan)
著者:川島小鳥
装丁:米山菜津子
言語:日韓併記
判型:A4変
総頁:240頁
製本:並製
定価:4,840円(本体4,400円)
ISBN:978-4-86152-986-3 C0072






















