「間取り図」なぜブームに? 専門家に聞く、出版からテレビまでヒットコンテンツ続々のワケ

6月末に終了する日本テレビ系バラエティ番組『ダウンタウンDX』の後番組として、7月10日から『見取り図の間取り図ミステリー』がスタートする。小説、映画、そしてバラエティ番組と、エンタメとしての「間取り」が人気となっている。
同番組は2021年から6回にわたって特番で放送されてきた、お笑いコンビ「見取り図」による国内外のユニークな家を紹介するバラエティ。過去の放送回では、「変わった間取り」から出演者たちが実際の物件に何があるのかを推理するクイズ形式で番組が進められ、その背景にある人間ドラマが紹介された。

同番組だけでなく、近年はエンタメとして「間取り」が扱われるケースが増えている。たとえば、「事故物件住みます芸人」松原タニシ氏による実話怪談集『事故物件怪談 恐い間取り』シリーズ(二見書房)は累計25万部を超えるヒットを記録。松原氏が実際に住んだ“事故物件”で経験した不思議な話を間取り図とともに紹介するノンフィクションで、今夏には映画化第2弾となる『事故物件ゾク 恐い間取り』の公開が予定されている。
また、同じく映画化された覆面YouTuberの雨穴氏によるミステリー小説『変な家』シリーズ(飛鳥新社)は累計発行部数250万部を記録。同シリーズはYouTubeに「【不動産ミステリー】変な家」としてアップされた動画の続編にあたるもので、一枚の間取り図から隠された謎に辿り着くミステリーだ。
ジャンルは異なるが、いずれも“間取り図”が描かれた印象的な表紙が特徴的で、物件のどこに謎が隠されているのか、ついじっと見入ってしまう装丁になっている。
「間取り図を見慣れている」日本人ならではのエンタメ

2022年には波瑠主演で間取りとリノベーションをテーマにした、星崎真紀氏の同名漫画(双葉社)を原作としたドラマ『魔法のリノベ』(フジテレビ系)が放送されたが、アイテムとして「間取り」を扱うエンタメが増えている。その背景について、「間取りのセカンドオピニオン」として3000件以上の間取り診断を行ってきた一級建築士・船渡亮氏は「“間取りを読みなれている”日本人ならではの部分があるのではないか」と解説する。詳しい話を聞いた。
「日本とは違い、海外では写真がズラッと並んでいるだけという不動産サイトが多いんです。日本ではまず引っ越しをするにもサイトや店頭にある間取り図を見て物件を選ぶはず。そのように、間取りを見ただけでどんな部屋かを想像できる人が日本には多い。そうした下地があるからこそ、逆に間取りの違和感を楽しませるエンタメも、自然と受け入れられるのだと思います。コロナ禍の2021年に雨穴さんの『変な家』が大ヒットしてそこから間取り本のブームが続いていますが、実は2003年にもヘンテコな間取りを扱った佐藤和歌子さんの『間取りの手帖』(リトルモア)の大きなヒットがあった。日本人は“変な間取り”が好きなんですよ」(船渡氏、以下同)
書店ではエンタメ的な間取り本の他、実用的な間取り本も多数並ぶ。船渡氏による2024年の著書『この間取り、ここが問題です!』(講談社)は、一見すると素敵に見える25の間取り図に潜む問題点を解説した新書。「家族の対話が増える間取り、減る間取り」「災害に強い間取り、弱い間取り」「小さな不満がたまりやすい家事動線」など、間取りの変更から生活の改善の可能性を紹介している。





















