【漫画】男がメイド服を着るのは変? 男女変わらぬ”かわいい”を描く『男の子もメイド服でかわいくなっていいですか?』

【漫画】『男の子もメイド服でかわいくなっていいですか?』を読む
メイド服へのこだわり
――なぜ『男の子もメイド服でかわいくなっていいですか?』を描こうと思ったのですか?
由紀:趣味でプレイしていたゲームに対する疑問が本作の起点にあります。そのゲームはキャラクターの着せ替え機能があったのですが、男の子のキャラクターはメイド服が着られないシステムになっていました。そこで純粋に「なぜ男の子はメイド服を着られないのか?」と疑問を抱いたことが、本作のテーマを考えるキッカケになっています。
――自身の疑問が根底にあるのですね。
由紀:はい。この疑問を抱いたタイミングで、「ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)の担当編集さんと読切作品の企画の打ち合わせをしました。そこでこの疑問について話したところ、「男の子がメイド服を着るっていいと思う!」という結論に至って本格的に制作を始めました。ちなみに、ネーム制作を始める前に、教職員として働く大学の学生さんにインタビューをさせてもらい、そこで聞かせてもらったエピソードや心の動きをヒントにストーリーの大まかな流れを作っていきました。
――梶と御子柴はどちらも可愛らしいキャラデザでした。
由紀:2人のキャラデザですが、梶くんは“スクールカースト上位で女の子から親しまれている世渡り上手”、御子柴くんは“よく見たら美少年だけど誰にも気付かれていない”というイメージで描きました。
――性格はどのように決めたのですか?
由紀:梶くんは自己肯定感が低く、それゆえに他者の意見に左右される性格です。他者の目が気になってしまう梶くんだからこそ写真を撮るのが上手いんですよね。一方、御子柴くんは、自分に自信があって他人と違うことを恐れない。そのため「自分」で世界が完結しており、そこに他者が存在していない。教室の中で孤立していても全く気にならない。この状態が良いとも悪いとも感じておらず、慣例や慣習にもこだわらない性格です。“自分”で世界が完結しており、他者が存在しない世界で生活しているからこそ、梶くんとは正反対で写真を撮るのが下手なんです。
——メイド服を描くために参考にした資料などありますか?
由紀: 由紀:森薫先生の『エマ』(エンターブレイン)などを参考にしています。また、メイド服を描くうえでこだわったポイントは、本物っぽいフリルを描くことです。布の厚みなども描いているので、注目してもらえると嬉しいです。
——メイド服だけではなく作中に出てくる純喫茶のデザインも素敵でした。純喫茶を描くうえで何か参考にしたのですか?
由紀:京都府にある喫茶店「六曜社 地下店」や「喫茶 ソワレ」、現在では閉店した「純喫茶 ルノワール」を参考にしました。バックヤードは京都市有形文化財「長楽館」にありそうなレトロ洋室をイメージしています。
——また、登場人物の表情も印象的な内容でした。
由紀:表情はネームの時点で基本的に決まっていて、作画時は顔のパーツの位置を整えるだけで、できるだけネームのままの表情を出すように意識しています。個人的には「かわいい」と言っている御子柴くんの表情がお気に入りで、ネームの良さを残して完成原稿にできました。
――最後に今後の漫画制作における展望など教えてください。
由紀:「本作を連載という形で届けられないか」と準備中です。潮流の速い現代では厳しい選択かもしれませんが、今すぐに梶くんと御子柴くんのストーリーを進めず、あえて一旦立ち止まって彼らの今後をよく考えて準備していきたいと思います。しばらく間が空くかもしれませんが、より充実した内容を読者さんにお届けできればありがたいです。
◼︎『男の子もメイド服でかわいくなっていいですか?』の全編は由紀円香のpixivで公開中!:https://www.pixiv.net/user/109013288/series/255850






















