【漫画】ホストに憧れる男子×スマホ依存の地雷系女子、ふたりの恋の行方は? ラブコメ漫画にキュン死

【漫画】『東京の美容院に行った俺VSスマホ依存地雷系女子』を読む
ホストをポジティブな要素として活用した背景
――今回『東京の美容院に行った俺VSスマホ依存地雷系女子』を制作した背景を教えてください。
墨染:以前描いた読切漫画『園児に混じって道徳の心を学ぶ厚生施設にぶち込まれた不良少年の話』内にスマホを持った地雷系女子っぽいキャラクターが登場しました。このキャラクターが気に入ったため、「ヒロインにして物語を描こう」と考えて制作しました。
――“スマホを持った地雷系女子”という出発点から、どのようにストーリーを作っていきましたか?
墨染:まず「スマホ依存のキャラにしよう」「スマホに夢中でクラスに馴染めてなさそう」とイメージを練り上げ、「そんな女の子のラブコメなら、どんな男の子が相手に合うのか」と相手役を決めていき、「女の子はあまり喋らなそうなので、対比として男の子のモノローグを多めにしよう」「スマホを活かして何か面白い演出ができないか」など順番に考え、ストーリーの全体像が固まっていきました。
——昨今はネガティブな側面が取り上げられやすいホストクラブのポジティブな役割として活用した理由は?
墨染:まず主人公は“女の子との交流が苦手なシャイな男子高校生”として描いており、「そういう男の子はきっと女の子と楽しく話せる人に憧れるのではないか」と考えました。そして、女の子と楽しく話せる存在として思い浮かんだのがホストでした。
――女性と楽しく話す仕事と言えばホストという感じですものね。
墨染:はい。ホストにネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、主人公は世間知らずでピュアな男の子なので、彼の目にはホストクラブの華やかな面ばかりが映ったとしても不思議ではありません。また、純粋に“ホストに憧れる男の子”という視点が面白いと感じ、ホストクラブを選びました。
——ちなみに「主人公が高いお金を払って髪形を変えた」ということに説得力を持たせるため、どのようなところに配慮しましたか?
墨染:主人公は「人と目を合わせられない」「自分の顔を見られるのも恥ずかしい」と考えており、そういう人は目元を隠したがるイメージがあるため、前髪を伸ばしました。ただ、美容院で前髪を短くするだけではビフォーアフターの差があまり感じられないと考え、後ろ髪も伸ばしました。
――髪を長くすると変化がわかりやすくなりますよね。
墨染:とはいえ、ぼさぼさのロングヘアーでは暗い雰囲気が強くなりすぎたため、それを中和する要素として「DEATH」と書かれた服を着させました。おかげで暗い雰囲気が少し和らぎ、同時により一層ダサさが強調されたので、「これは面白い」と思って採用しました。また、アフターは「パーマ イケメン」で検索してヒットした髪型を参考にしただけなので、すんなりと決まりました。
セリフ量で雰囲気をコントロール
――一方、ももというキャラはどのようにデザインしていったのですか?
墨染:YouTubeでとあるV系バンドの動画を観た時、すごくかわいいロリータ系のファッションをしながらも、舌や耳にたくさんピアスを開けたバンギャの女性が映っていました。かわいらしさの中に凶暴性を秘めたビジュアルに惹かれ、その要素をもものビジュアルに取り入れました。
――性格にはどのようなこだわりを入れ込みましたか?
墨染:私の理想の“地雷系女子”をイメージしました。具体的には、他人にあまり興味がなく、それでいてたまに笑いかけてくれるとすごくかわいい。こういうキャラを描きたいとずっと思っていたので、今回形にできて嬉しいです。
——前半はドタバタ劇、後半は静寂な表情の芝居、という内容でした。セリフ量はどういった意識で調整しましたか?
墨染:本作のテキストの大部分は主人公のモノローグとセリフで構成されており、テキスト量は主人公の心の余裕を反映しています。前半は余裕を見せながら心の中でツッコミを入れているため、セリフが多くなっています。一方、後半ではももに絡まれることで余裕を失い、思考が追いつかなくなっています。そのため、前半と後半でセリフ量が大きく変化させています。
――セリフ量でペースをコントロールしていたのですね。
墨染:はい。また、後半でセリフがまったくない場面では、主人公はまるで時が止まったかのように感じていたはずです。その感覚を表現するため、後半のテンポを意識的に調整しました。
——ラストの「主人公をスマホ代わりにして操作する」という表現が面白かったですが、どこから着想を得たのですか?
墨染:“スマホ依存の女の子”をテーマにラブコメを描くことを決めた時点で、「せっかくならスマホを絡めたラブコメにしよう」と考え「こんな風に絡まれたら好きにならざるを得ない」と思えるくらいの演出をしたいと思ったんです。女性との接触に慣れていない主人公は、顔を近づけられたら意識せずにはいられないはずです。スマホを使って顔を近づける方法を考えた時、スマホには“拡大・縮小”の操作があることに気付きました。
——また、主人公がスマホになったシーンの作画も惹きつけられるものがありました。
墨染:実はこのシーンは最初から映像として頭の中に浮かんでいました。ですので、できる限り忠実に絵に落とし込むことを意識して描きました。ただ、頭の中ではもっと完成度の高いシーンが描けているのに、思い通りに描ききれない自分の技術不足が悔しかったです。5年後にもう一度このシーンを描き直し、リベンジしたいと思います。
――今後はどのように漫画制作を進めていく予定ですか?
墨染:まだ詳細をお伝えできないのですが、現在読切作品1本と、さらに2つの案件を進めています。Xやpixivで随時情報を公開していきますので、ぜひチェックしてもらえると嬉しいです。描きたいものも、やりたいことも、まだまだたくさんあります。やりたいことをすべて達成するまで、描き続けるつもりです。今後ともよろしくお願いします。
■墨染清氏の過去読切『園児に混じって道徳の心を学ぶ厚生施設にぶち込まれた不良少年の話』はこちらから:https://x.com/sumizomesei/status/1825458616977018951






















