人気料理家・坂田阿希子が提案する、お酒とサンドイッチのマリアージュ

坂田阿希子が提案する、お酒とサンドイッチ

 東京・代官山「洋食 KUCHIBUE」のオーナーシェフとして厨房でも腕をふるう、料理家・坂田阿希子によるお酒とサンドイッチにまつわる書籍『サンドイッチ・バー』(坂田阿希子著/東京書籍)が発売された。

 お酒に合わせて、サンドイッチだからこそできる「仕掛け」がある。それを考えるのがたまらなく好きだ。サンドイッチを作るとき、私はいつも気持ちのいい緊張感に包まれる。

 食べたときの食感や味の構造、アクセントになるような風味や香り。そしてなんといってもストンと切り分けたときの切り口の凛とした佇まいを考える。とにかく丹精込めて作るのだ。

 パパッと朝食やランチに、気軽に作るサンドイッチというのもいいが、私はサンドイッチこそ、緊張感を高めて緻密な構造で作るべき料理ではないかと考えている。

 だからこそ、とっておきのお酒に合わせて、ゆったりとした大切な夜の時間に合わせて作ってみてはどうだろうか。一日の疲れを癒やすような時間に、小さく切り分けたサンドイッチをつまむ。そんな時間にぴったり合うようなサンドイッチの本をいつか作りたいとずっと思っていた。

 合わせるお酒はもちろんお好みで楽しんでもらえばいいのだが、なんとなくの私なりのルールを紹介しよう。

 たとえば魚介類を使ったものなら、キリッとした辛口の白ワインがとても合うし、それをフライにしてマヨネーズやウスターソースが加われば、モルトの香りが効いたウイスキーを合わせるのもよし。フィッシュアンドチップスがあるくらいだもの、ギネスビールももちろん合いそう。

 シュニッツェルのような薄いカツレツには、お国柄に合うモーゼルワイン。サワークリームとサーモンやタラモときたら、やっぱり清涼な生産地のワインが合うように思うし、じゃがいものサンドイッチなら、ウオッカもよさそうだ。

 料理とお酒を楽しむときのように、肉のパテやステーキサンドなら、ちょっと重めの赤ワインが飲みたくなるし、フルーツサンドならシャンパーニュを合わせたい。チーズのサンドイッチには、そのチーズの生産地のワインならたぶんピタリとくるように思う。

 頭を悩ませる必要はない。その日に飲みたいお酒を選んで、それに合わせてサンドイッチを考えるだけ。

 ただ、少しの緊張感をもって、キリッとした佇まいのサンドイッチを作ろう。それだけでサンドイッチの完成度はまったく違ってくる。端正に作られたサンドイッチの味わいについては、もちろん言うまでもない。

書籍概要

『サンドイッチ・バー』
■坂田阿希子/著
■定価2,200円(本体2,000円+税10%)
■B5変型・128頁

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