【漫画】天使と悪魔の仕事にもDXの波……? 死後の人間の魂をめぐる会話がおもしろい漫画『AandD』

――6万のいいねが集まっていますが、ご自身としてはいかがでしょう?
新國みなみ(以下、新國):この回は3、4年前に描いて投稿したのですが、その時のいいねは1万くらいだったんです。再掲でここまでバズるとは想像していませんでした。この前のエピソードが約8万いいねだったので、それに伴って多くの人に読まれたのかもしれません。
――『AandD』は「Angel and Devil」の略とのことですが、このテーマを描こうと思った経緯は?
新國:液晶タブレットを入手した時期で、それを使って何かを描きたいと思っていたんですよ。そうしたら夢で天使と悪魔が話し合っている様子が出てきて。それが印象的で忘れられず、とりあえず1話だけ描いてみてから、もう4年になります。
もともと天使と悪魔が好きで、漫画『聖☆おにいさん』や関連する本を知人に勧めてもらって読んでいました。またドラマ『グッド・オーメンズ』を観ていた影響もあるのかなと思いますね。
――この34話については?
新國:この回は元ネタが存在しています。ある本に「天使と悪魔が人間の魂を取り合う」という小話が載っていて、そのやりとりがとても紳士的だったんですよ。
敬語で真面目に議論して、お互いに納得の上で「今回はそちらに譲りましょう」というような結論になる内容。商談に近いのと、天使と悪魔は仲が悪いものだと思っていたので驚きましたね。
――ポップな絵柄のカラー漫画になっているのもポイントかと思いました。
新國:天使と悪魔といえば本場は西洋。ヨーロッパではフルカラー漫画「バンド・デシネ」が主流なので、それを若干意識しているのはあります。普段はもう少し頭が大きかったりデフォルメした絵が好きなんですけど、そうではなくアメコミやピクサーみたいな方向性にしました。
その代わり作業は1ページに1日ほど時間がかかるので、今作はネームを含めて5~6日はかかっています。それでも早い方かもしれません。話を考えている時が一番楽しいんですよ。だから自分が描きながら「早く次に進みたい」と(笑)。
――創作自体が好きなんですね?
新國:漫画に没入する時が幸せなんです。その感覚を初めて体験したのが『AandD』でした。キャラクターが本当に物語のなかで生きていて、自分はそれを俯瞰して覗いているだけという感覚までいけたら「生きててよかったな」という気持ちになるんです。
――新國さんはBOOTHでご自分の漫画を紙版とPDF版で販売されています。これについては?
新國:もともと商業化しようと思っていたんですけど、フルカラーにしてしまったので雑誌連載が厳しくなってしまったんですよ。それから描き始めた当時はアシスタントを5件掛け持ちしていて、連載に切り替える余裕もなかったので「今できることでお金にしよう」みたいな感じでした。
それでpixivFANBOXを始めて、色々な意見を聞いて試行錯誤しながら今に至ります。紙版を1000人が買ってくれるとしたら、PDF版は500売れる感じのバランス。意外とPDFも人気なんですよ。
――なるほど。
新國:最初は人に支援してもらうことに慣れなくて大変でした。でも「お金をもらうことは怖がることじゃない」と思えるようになりました。ただ創作している人間と相性の悪い稼ぎ方だと感じることもありますね。お金の流れを見ないで済む、という点では出版社で連載をした方が安心なのかなという学びもありました。
――2025年の展望は?
新國:今年は商業版『AandD』第3巻が出るので、それに向けて盛り上げていきたいです。時間に余裕があれば完全新作の別作品を描いて個人的に上げてから商業にもできたらと思います。























