【漫画】闇落ちした天使に友だちの声は届くのか? 深いテーマに思わず唸るSNS漫画『メモリー』

【漫画】闇落ちした天使に友の声は届くか?

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

ミエタサチ:作品のモチーフをランダムに提示してくれる「お題ガチャ」を使用して出た「紅茶」がきっかけです。紅茶を中心にしたストーリー展開が難しかったため、紅茶の銘柄をキャラクターの名前に当て、物語を構想しました。

ーー主人公であるウバさんを描くなかで意識したことは?

ミエタサチ:調べてみるとウバ茶は少しクセがあるらしく、人によって好みが分れるイメージがあるキャラクターとしてウバを描きました。周りから嫌われやすい存在というところを最も意識していました。

ーー作中でウバさんは「迷子」と表現されていました。

ミエタサチ:ウバは根っからの悪人というわけではなく、あくまでも環境のせいで歪んでしまったところがあると思います。プライドが高いため自分が間違っていることを認められず、そのせいで人が離れて行ってしまう……。

 彼女はただ友だちが欲しかっただけだと思います。だからこそ、もっと早くルフナと出会えていたらよかったのかもしれません。

ーー本作のクライマックス、ウバさんの死を描いたあとの後日談として、転生したウバさんとルフナさんが出会うエピソードを描いた思いは?

ミエタサチ:当初はウバの死で物語を終わらせる予定でした。ただ、このままだとルフナの描写が薄くなってしまう印象を抱き、後日談を付け加えた方がいいなと思ったのです。ページ数は多くなってしまいましたが、自分としては納得できる作品にはなりました。

ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンを教えてください。

ミエタサチ:ウバが転生する直前のシーンです。ここはウバがウバで在ることができるシーンであり、本作のクライマックスにあたる重要なシーンです。そのため明暗のバランスはとれているか、ウバの表情はこれでいいのかと悩みながら描きました。

 亡くなる直前はその人のことが最も見える瞬間だと思います。従来のウバから逸脱しすぎることなく、幼い頃の純粋なウバを意識しながら彼女の表情を描きましたね。

ーー本作は紅茶というモチーフとともに、作品のテーマとして善人・悪人について描かれていたと思います。

ミエタサチ:私自身の考えにはなりますが、人に意図的に危害を加えようとしたら悪人なのかなと思います。ウバはルフナに明確な殺意を抱いてしまったため、あのときの彼女は悪人な一面が出ていたのかと。

 日常の中で危険な好奇心が生まれたとしても、その思いを実行に移さなければ善人なのだと思います。

ーー今後の目標を教えてください。

ミエタサチ:物心ついた頃から絵を描くようになり、今まで漫画を描きつづけてきました。最近は自分の描きたい漫画が見えてきて、あまりスクリーントーンをつかわず、引き算的に白と黒を使い分けながら描くことに楽しさを覚えるようになりました。

 試行錯誤しながらグレードアップしているので、これまで作品を見てくださった方はこれからも楽しみにしてください。

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