『HUNTER×HUNTER』クラピカの復讐はどうなる? 幻影旅団とクルタ族の因縁に隠されたミステリー
事件の裏にはカキン帝国の関与があった?
まず「復讐説」から説明すると、そのカギを握っているのは過去編と『クラピカ追憶編』の両方に登場するシーラという人物だ。
彼女は元々クロロたちの仲間だったが、「幻影旅団」結成のタイミングで去っていったようで、現在の時間軸では一切登場していない。その一方、『クラピカ追憶編』では、プロハンター志望の少女として幼少期のクラピカと出会っていた。
シーラは足に怪我を負って森で倒れていたところを助けられ、お礼として冒険活劇書を授けることで、クラピカがハンターに憧れるきっかけを作ったという役回りだ。
ここで気になるのは、「シーラはなぜ怪我をしていたのか」ということ。もし何者かの攻撃が原因だとすれば、1つの推論を行うことができる。すなわち何らかの理由でクルタ族がシーラを狙っており、彼女が何も言わずに姿を消したのも“始末”された結果だった。そしてその事実を知った「幻影旅団」が復讐のために村を滅ぼした……というわけだ。
さらに飛躍して考えるなら、「そもそもサラサが殺された件にもクルタ族が絡んでおり、シーラが村を訪れたのはその調査のためだった」という可能性もゼロではないかもしれない。こうした仮定があれば、「幻影旅団」がサラサにやられたのと同じレベルの凄惨さでクルタ族を襲ったとしても納得できるだろう。
他方で「冤罪説」に立つなら、クルタ族を襲ったのは「幻影旅団」とは別の勢力ということになる。シーラが村を訪れたのはたんなる偶然で、怪我をしたのも不慮の事故に過ぎず、虐殺の現場にあった「我々は何ものも拒まない だから我々から何も奪うな」というメッセージは、「幻影旅団」の悪名を利用して濡れ衣を着せようとした第三者の計らいだったのかもしれない。
ウボォーギンなどのセリフから、かつてクルタ族と「幻影旅団」が接触したことがあったのは確定しているが、それは虐殺とは別の出来事だったのではないだろうか。
あるいはもう1つの冤罪の形として、第三者がクルタ族のフリをしてシーラを襲うことで、「幻影旅団」襲撃のきっかけを作り出した……という可能性も考えられる。
いずれにしても、重要なのは第三者が何者なのかということだが、今のところその候補を1つに絞ることは難しい。だが、「王位継承編」ではクラピカと「幻影旅団」の因縁が進展する気配を見せていることから、カキン帝国の関与、具体的には第4王子ツェリードニヒ・ホイコーロの関与を疑ってみたい。
ツェリードニヒは緋の眼の最後の持ち主として登場しており、作中トップクラスに残虐な性格の持ち主。クルタ族の事件が起きた時はまだ10代だったものと思われるが、カキン帝国の権力は絶大なので、ひそかに配下を動かして自身の欲望を満たしていたとしてもおかしくはなさそうだ。
もしクルタ族虐殺事件の真相が異なるものだったと判明すれば、「幻影旅団」への復讐に人生を賭けてきたクラピカは大きな衝撃を受けるだろう。はたしてこの事件の裏には、いかなる真実が隠されているのだろうか……。激動の展開が続く「王位継承編」、その熱量は増していくばかりだ。