『HUNTER×HUNTER』最新話に追いつきたいーー混沌とする王位継承戦の現状を振り返る

作中最強の念能力者になりうる王子

  とはいえ、今後の継承戦で中心人物となりそうなのは、他の誰でもなく第4王子ツェリードニヒだろう。元々念能力者ではなかったが、私設兵のテータから念の手ほどきを受けるとたちまち才能を開花させていった。その素質はまさに神に選ばれた天才で、能力もきわめて強力。10秒のあいだ未来に起きる出来事を予見し、自分だけその未来とは異なる行動をとれる……といったもので、これまで登場した中で最強格の念能力に見える。

  またツェリードニヒは、「王位継承編」で起きる出来事の背景に何かと絡んでいるのが印象的。船内の下層部ではカキンマフィアたちの抗争が描かれているが、その中で混乱を巻き起こしているエイ=イ一家は、ツェリードニヒがケツモチを務める集団だ。両者の関係は悪化しており、ツェリードニヒが制裁に向けて動き出しそうな気配があるものの、いずれにしても重要な関係者であることは間違いない。

  さらに9月4日に発売された最新刊の38巻では、下層で働く兵士として、ツェリードニヒの友人だったという王立軍学校4期の出身者たちが登場。これから周辺の人間関係が掘り下げられていくとすれば、ほかの王子とは明らかに違う特別待遇だ。そしてツェリードニヒは“緋の眼”の持ち主としてクラピカとも因縁があるので、確実にメインストーリーに絡んでくるだろう。

  またクラピカとの接点といえば、第5王子ツベッパの動きにも注目したい。彼の守護霊獣は共同研究者(パートナー)を必要とする共存型の能力をもち、体内でさまざまな薬品を生成できるというもの。38巻では、クラピカがそのパートナーになることを決断していた。

  これまでは他の王子たちの小競り合いにあまり関わっていなかったツベッパだが、この先一気に進展が見られるかもしれない。

  そのほか第3王子チョウライは、上位の王子にしては影が薄かったものの、37巻所収の第390話にてシュウ=ウ一家のオニオール組長のことをモノローグで「父さん」と呼んでいるシーンが描かれた。継承戦に参加できる王子はホイコーロ国王の「正室の子」だけのはずなので、本当はオニオール組長の子だとすれば、儀式の根幹を揺るがすジョーカーだと言える。

  さらに第401話では、王子のなかにビヨンド=ネテロの子がひそんでいるという説まで浮上。それに加えてカキンマフィアたちの抗争や幻影旅団、プロハンターなどの動きも絡み合い、ますます先が読めない展開へと突入している。

  一体、誰がこの血みどろの戦いを制するのだろうか……。加速する王位継承戦の行方に注目したい。

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