【漫画】壁一面に無数の肖像画が飾られた謎の部屋、その一枚に触れようとすると……美しすぎるSNS漫画に目を奪われる

自由自在なコマ使いの理由

――今回『ローズマリーと奇妙な肖像画』を描いた背景は?

甘木:昔から美術館巡りが趣味で、気になった絵の背景を調べ、その絵のストーリーに想いを馳せることが大好きです。もはや「いっそ絵に飛び込めたら楽しいに違いない!」と考え、本作を制作しようと決めました。

――世界観がとにかく特徴的な作品でしたね。

甘木:主人公のローズマリーとフェンネル、世界観に関しては10年以上前から考えていました。「こんな奇妙な肖像画があったら素敵だろうな」というイメージがまず頭の中にあり、そこからその肖像画の背景となるストーリーを考えていきました。本作の世界観は、童話やゴシック・ホラー、世紀末文学など、いろいろなものから影響を受けて作り出されたと思います。

――世界観を作り上げるうえで意識したことは?

甘木:とにかく自分が好きなものを全て詰め込み、そのうえで読者さんにわかりやすく伝えることを目指しました。また、アンティークな雰囲気やダークファンタジーな世界を演出するため、漫画というよりは絵の構図を考えるようにコマ割りや構図などをデザインしました。

――マリーやフェンネルを描く際にモデルなどはいましたか?

甘木:私はヨーロッパの蚤の市で19世紀の古写真を集めることが好きで、主人公のローズマリーやフェンネルのビジュアルはそういった古写真からも着想を得ました。また、昔の白黒映画も好きなので、そうした作品の要素もキャラクター作りに反映されていると思います。

――鍵穴の形に見立てたりなど、常識に囚われないコマの使い方が面白かったです。コマの使い方でこだわっていることは?

甘木:「世界観やキャラクターの心情に合わせてコマの形も自由に変わったら楽しいな」と思っていて、アール・ヌーヴォーのポスター作品や中世の写本・絵画作品の構図を参考に、とにかく自由にコマの使い方を考えるようにしています。

続編への意気込み

――また、描き込み量の多い作画も雰囲気づくりに大きく影響していた印象です。

甘木:描き込みの多い繊細な筆致の作品にときめくので、「自分の作品も描き込めるところはどこまでも描き込みたい」と思っています。また、続編ではもっと描き込む所存です!

――続編の注目ポイントですね。

甘木:ただ、描き込み量だけではなく、本作は絵画がテーマのシリーズなので、続編では名画オマージュをたくさん入れたいです。ちなみに、本作内のオマージュを1つ取り上げれば、ヴェネティアが亡き夫とキスするシーンは、ルネ・マグリット『恋人たち』を意識しています。

――改めてになりますが、続編に関する情報を教えてください。

甘木:次回は『髑髏の騎士』の肖像画に飛び込む物語を制作中です。『死の舞踏』など入れたいモチーフが多く、楽しみながら描きたいと思います。恐らく12月中にはXやKindleなどで無料公開する予定です。その他のウェブ配信サービスとも提携して、幅広く配信していこうと考えています。また、ローズマリーやフェンネルのイラスト、配信情報などはXで公開していますので、気に入ってもらえたらフォローいただけると嬉しいです!

――今後、漫画制作をどのように展開していく予定ですか?

甘木:まず『ローズマリーと奇妙な肖像画』で描きたい物語がたくさんあるので、とにかくいろいろな肖像画に飛び込むローズマリーとフェンネルの物語を描き続けていきたいです。また、紙媒体が大好きなので、「装丁にこだわった本を作ってみたいな」という夢もあります!

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる