中山秀征、テレビでの失敗と未来への提言「沢尻エリカさんに何も通じなかったことは今も反省している」
テレビスターを目指して14歳でデビュー。以来、群雄割拠の芸能界で42年もの間、第一線で活躍し続ける中山秀征氏の初エッセイ『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』(新潮社)が5月に刊行され、話題を呼んでいる。
過去のヒット番組の裏話やコンプライアンスへの考え方、これからのテレビがすべきことといった、未来への提言も綴られた一冊。「テレビタレント」という肩書きに誇りを持って邁進する中山氏に、これまでに培ったネガティブな意見の受け止め方や、これからの自身とテレビ界についての思いを聞いた。(根津香菜子)
■常に「誰か」を意識する大切さ
――本書には「失敗や批判を怖がらない」といった中山さん流の明るい受け止め方が書かれていましたが、そういう考え方はいつ頃からあったのですか。
中山:「仕事が仕事を生む」という考えができたのは10代の頃ですかね。当時のマネージャーに「もうちょっと僕のことを売り込んでくださいよ」と話したら「テレビに出ているのに仕事が来ないのは、お前自身のせいなんだ」と言われたことがあったんです。「この業界の人たちはテレビを見て、使う人を見つけている。こんなにいいプロモーションはないんだぞ」と言われた時に、確かにそうだなと思ったんです。
視聴率が良ければそれだけ多くの人が見ているし、あまり数字が取れなくてもそれを見ている人が必ずいる。メディアに出ている以上は必ず「誰か」が見ているし、その「誰か」が自分の人生を左右するかもしれないと思うと手は抜けないですし、その「誰か」をいつも意識しています。
――ではこの42年間、毎日オーディションを受けているような感覚なんですね。
中山:そう、だから僕の中ではいつも戦いなんです。もちろん、慣れもあれば自分のフィールドではないところでの多少の難しさはあるけど、他の人の番組でも、自分の番組であっても、いつも新鮮な気持ちでワクワクドキドキしながら出ています。
――『いばらない生き方』というタイトルですが、これまで多くの「いばる人」に出会ってきたかとお察しします。「いばる人」を客観的にどう見ていますか?
中山:いばる人というのは、本当の意味でトップに立つ人ではないですよね。僕にもそういう時期があったと思うけど「なめられちゃいけない」と虚勢を張ることで自分を保とうとしていたといいますか。本当にすごい人というのは、周りが「この人はすごい」と分かっているから、いばることも虚勢を張る必要もないんです。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」じゃないですけど、本物のスターは腰の低い人が多いんです。
――なぜ「いばる」のでしょう?
中山:「なんで君は分からないんだ」と、自分の気持ちを理解してもらえないからなんでしょうか。だから、いばっているのは「説明の途中」ということなんじゃないかな。あとは、やっていることが評価されていないとか、納得がいっていないとか、要素は色々あるだろうし「なめられたくない」という気持ちからくる防御心が、いばることに繋がるのかなと思います。