【漫画】戦国時代だったら「高身長」なだけで無双できる? 異色のタイムスリップ漫画に脚光
――本作には約5万のいいねが集まっていますが、これについていかがですか?
ザビエラー長谷川(長谷川):連載自体は2年前に始まり、1年で終わりました。正直なところ単行本の発売前にバズってほしかったですね(笑)。読まれた理由としては数年前にYouTuberのたぬかなさんが「身長170センチ以下は人権がない」と言って炎上したこともあり、身長に関して注目されやすい土壌があったと感じました。
そもそも身長に関わらず、戦国時代のやるかやられるかの世界で人権なんてないですよね(笑)。あとは「身長が高くても筋力と精神力で現代人は勝てない」というような意見もいただきました。議論が議論に繋がって盛り上がった印象があります。
――制作のきっかけについても教えてください。
長谷川:担当編集の方が物知りで「戦国時代は栄養が足りなくて、みんな身長が低かった」と教えてくれたんです。そこから「長谷川さんみたいな人が無双できる作品はどうですか?」と。
僕もゲーム『戦国無双』などが好きで、前回の作品『抜刀』でも殺し屋を描いていたんです。なので今回も「暴力」をエンタメとして描けるかなと。もちろん暴力を肯定しているわけではなく、作品内で楽しめるものとして。
――主人公はやはり長谷川さん自身を投影しているのですか?
長谷川:そうですね。僕も身長が183センチなのですが「身長が高くてもモテないじゃん」というジレンマを抱えていたんです。結局は顔だなと。それをネタにしつつ、もともと好きだった戦国時代と絡めて漫画にしました。
――歴史の面白さとは?
長谷川:もともと父親が城跡の研究をしていて、その影響です。やっぱりシンプルに男らしさがむき出しだった戦国時代に惹かれますね。生活でいえば現代の方が圧倒的に住みやすいと思うんですよ。
昔の人は飲み水さえも汚かったと言われますし、こまめに風呂にも入れなかった。でも中性的なカッコよさより、テストステロン値が高い方が個人的には好きなんです。
――戦国武将の身長がデータとして出てきますが、あれは真実?
長谷川:当時の鎧の大きさなどから推測されたデータがほとんどですね。調べてみるとわかります。身長がわからない武将に関しては想像で描いたところもあります。
――作画で意識されたことも気になります。
長谷川:原哲夫さんの『花の慶次』のような、線が多くて迫力がある絵柄が好きで。それは本作に関しても意識したポイントでした。それに「上杉謙信や武田信玄の身長が低い」というと彼らを侮辱しているみたいじゃないですか。だから彼らをリスペクトする上でも表情でカッコよさを演出できればと。
線を増やすと作業も多くなって大変なのですが、アシスタントさんにも助けてもらって、しんどさを感じずに連載できました。
――今振り返って『長谷川無双』は自身にとって、どんな作品ですか?
長谷川:武将たちを愛しながら、自己顕示欲も満たせるような作品でしたね。そのなかで読者さんに少しでも笑いを届けられたらと考えて描いていたと思います。
また先日のコミティアでは40~50代の男性がたくさん漫画を買いに来てくれたんですよ。その層に届いているのが嬉しい。今後も男臭い作品を描いていければ。