『進撃の巨人』『うしおととら』『鋼の錬金術師』……嫌いになりきれない“裏切り者キャラ”が活躍する漫画といえば?

※本稿は『進撃の巨人』『うしおととら』『BLEACH』『鋼の錬金術師』のネタバレを含みます。

 物語の世界観を引き立たせるために必要不可欠ともいえる“裏切り者”キャラ。裏切った理由や生い立ちなど、背景を知ってしまうと憎みきれなかったり、なかにはむしろ応援したくなるキャラもいたりする。そこで今回は、どうしても嫌いになりきれない裏切り者たちを紹介していこう。

『進撃の巨人』ライナー・ブラウン

 まずは『進撃の巨人』でおなじみ、ライナー・ブラウン。主人公のエレン・イェーガーと同じく第104期訓練兵団へ入団したライナーは、屈強な体格と精神力を持ち、仲間からの信頼を得たリーダー格のキャラだ。しかしその正体は、ウォール・マリアの壁を壊した犯人のひとり「鎧の巨人」だった。

 同郷のベルトルト・フーバーも「超大型巨人」、アニ・レオンハートは「女型の巨人」と、ライナーと同じく裏切り者のポジションではあったが、なぜライナーだけ読者からの人気が厚いのか。それは裏切りに隠された悩みや葛藤を細かく描写されていたことが大きく影響している。実はライナーは物語の後半に故郷であるマーレへの忠誠心と、エレンたちを裏切っていたことへの罪悪感の板挟みにより自殺未遂を起こしてしまう。

 悲惨な過去を持ち、過酷な状況に追い込まれたライナーは、読者から妙な人気を得ることになったようだ。作者の諫山創のお気に入りキャラでもあるため、ネット上では「作者に好かれたせいでとことん酷い目にあう男」「ライナーって徹底的にイジメられるよな」とネタ扱いもされてしまっている。

『うしおととら』秋葉流

 次は『うしおととら』の秋葉流について見ていこう。秋葉流は主人公である蒼月潮の持つ「獣の槍」の伝承者候補の1人だが、獣の槍には興味がなかった。しかし潮と出会ってからは彼の生き方に興味を持ち、良き兄貴分的な存在になった人物である。

 だが物語の終盤、秋葉流は突如「うしおととら」を裏切ることになる。その理由は「本気でとらと戦いたい」というもの。裏切るまでの間に、天才であるが故の虚無感や深い闇、苦悩がきちんと描かれていたためか、身勝手な理由で裏切ったのにも関わらず読者人気が高いキャラだ。

『BLEACH』藍染惣右介

 続いて紹介するのは『BLEACH』の藍染惣右介だ。藍染はかなりの野心家で、部下である雛森桃の敬愛の心を利用したりと卑劣な方法ばかりおこない、しかも全く罪悪感を持たないという鬼畜キャラ。これだけだと憎めない要素が見当たらないが、実は藍染を嫌いになれない理由は“ネタキャラ”という立ち位置にいる部分が大きい。

 彼は戦闘が進むにつれて形態変化をしていくのだが、途中の姿が全身真っ白の姿になることから“はんぺん”と揶揄されたり、「私が天に立つ」と言った自信満々のセリフを恥ずかしげもなく吐いたりするところを読者にいじられ愛されている。ザコキャラ臭が漂いながらも、実力は作中最強クラスというギャップも魅力なのかもしれない。

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