映画やゲーム化を果たした作品も 『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』だけじゃない鳥山明の短編作品
トップ画像:©バード・スタジオ/集英社 ©SAND LAND製作委員会
3月1日に急性硬膜下血腫でこの世を去った鳥山明さん。長きにわたって愛されるコンテンツをこの世に生み出し、我々ファンを楽しませてくれた氏の代表作といえば世界中で大ヒットした『ドラゴンボール』だが、『Dr.スランプ』のような“ほのぼの系”の作品も多数描いていることをご存知だろうか。
オバケや悪魔が主人公の冒険譚
『ドラゴンボール』連載終了から2年数カ月ぶりに、「週刊少年ジャンプ」で短期連載されたのが『COWA!』である。ストーリーは、オバケのパイフーが平和なコウモリ岬に蔓延した“オバケ風邪”の薬を手に入れるため、人間のおじさん・丸山真虎と一緒に冒険に出るというもの。
ロードムービーのようなドキドキ・ワクワクの冒険譚は、まだ悟空が幼かった頃の初期『ドラゴンボール』を彷彿とさせる。ほかにも『ドラゴンボール』っぽさが垣間見えるシーンがちらほら。たとえば、パイフーが十字架を見ると凶暴な「コアラ男」に変身してしまうのは、まるで月を見ると大猿になってしまうサイヤ人のようだ。
鳥山さん自身もお気に入りの作品だったようで、“絵本っぽさ”を前面に出す試みがなされている。また、第1話が異例のオールカラー掲載だったことも注目を集めた。
『SANDLAND』も同じく短期連載として、全1巻の構想で描かれたもの。2023年に映画化され、2024年3月からは動画配信サービス「Disney+」でシリーズ配信、4月にはゲームも発売されるなど今勢いのある作品だ。
鳥山さんが「じいさんと戦車の漫画」というコンセプトで描いた同作品は、悪魔の王子“ベルゼブブ”とベルゼブブのお目付け役で魔物の“シーフ”、人間の保安官“ラオ”が、幻の泉を探す旅に出るストーリー。『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』では明らかに見た目の異なる“異種族”が当然のように共存しているが、『SANDLAND』では異種族間の問題や友情が所々に描かれている。
また、砂漠を走るバギーや丸っこくデフォルメされながらもリアル感のある戦車、巨大空母など、“鳥山明の本領発揮”といったメカニックデザインも秀逸だ。戦車同士の手に汗握る戦闘シーンも見逃せない。