【漫画】美しい人形のガンアクションがバズ! 『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』に感じるロマン

ある日突然物語を授かる

――今回『全身武器の球体関節人形がパイを届ける話』を制作した背景を教えてください。

尾崎:社会の目が厳しく、空気を読めないとすぐ炎上するような世の中で、最近の自分の作品も優等生的になってきている気がして嫌でした。アクションシーンのある作品を長いこと描けていないこともあり、フラストレーションが爆発して制作したのかもしれません。

――『魔女の宅急便』の一幕を思わせる展開でした。改めてストーリーはどのようにして描いていったのですか?

尾崎:「漫画をどうやって描いたのか?」と質問されると正直困ります。どうやって描いているか、自分でもよくわからないです。考えて描くというより、ある日突然物語を授かるという感覚です。崖を渡る、パイを届ける、殺戮アクション、というアイデアだけは何年も前からありましたが、そこで止まっていました。最近突然アクションの殺陣が頭に浮かんだので描けました。

――ルナリアのビジュアルはどのように作り上げましたか? 足がガトリング砲に変形する仕掛けがカッコよかったです。

尾崎:もともとドール好きではありますが、ゴスロリなどは詳しくありません。”描きやすくてアクション映えする”という観点で容姿を決めました。足がバシャンと開いてガトリング砲が出てくるという映像は、ある日突然浮かびました。最初に描いたのがあのコマです。

――両手に銃を持って躍動するルナリアの姿は爽快感がありました。ガンアクションを描くうえで意識したことは?

尾崎:ガンアクションは実は苦手で、ガンマニアでもなく、最低限の銃の構造や撃ち方を知ってる程度なので、ぶっちゃけハッタリと勢いだけで描いてます。ファンタジーだから許して…。ただ、唯一アクションの参考にしたのは、榎本俊二先生の『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』(講談社)という漫画です。ひたすら残虐で美麗な殺戮漫画で、私など足元にも及びませんが、「自分もこんなブチギレた漫画が描きたい」という願望がずっとありました。崖下に下卑た盗賊が巣食っているあたりは、そのまま影響を受けてしまいました。

――派手に銃で大立ち回りを見せたにもかかわらず、最後は自身の頭をメリケンサックのようにしてグーパンで倒す姿も素敵でした。

尾崎:最初はスタイリッシュに、次第にボロボロでなりふり構わない戦い方にしています。足が開いてガトリングが出る、頭が爆発するなど、見せ場になる絵を1ページごとに入れるようにしました。

――ルナリアの首が跳ねられたりなどしましたが、最後までグロさを覚えずに楽しめました。

尾崎:生身の女の子が主人公だったら直視できない状況ですが、主人公は人形なので、傷つくことも死ぬこともないところが強みです。私の絵はあっさりしているので、あまりエグさが引き立ちませんね。バカっぽさやオチの軽さでもバランスを取っています。

――今後の作品も楽しみですが、どのように漫画制作を展開していく予定ですか?

尾崎:描くのが遅いため、次の予定はまだ未定ですが、今までアクションファンタジーだけではなく、現代物や恋愛ものなどいろいろ出版しています。興味があったらぜひ読んでみてください。今後の予定が決まりましたら、Xやブログでお知らせします。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「著者」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる