『ドラゴンボール』『NARUTO』『るろうに剣心』……アニメ版からの影響で漫画に採用された伝説的エピソード

 漫画をアニメ化する際、原作を忠実に映像化することがあるが、逆にアニメ版から原作者が影響を受けてしまうパターンも少なくない。これまでアニメ化された「週刊少年ジャンプ」の作品では、そうしたことが頻繁に起きてきたようだ。

  有名な例として挙げられるのが、鳥山明による『ドラゴンボール』。今では孫悟空の父親としてそれなりの知名度があるバーダックだが、元々はアニメオリジナルのキャラクターとなるはずだった。原作では、兄であるラディッツが悟空と会った際に「父親にそっくりだ」と発言したのみで、具体的な姿は描かれていなかったのだ。

  バーダックが登場したのは、TVアニメ『ドラゴンボールZ』の「たったひとりの最終決戦 フリーザに挑んだZ戦士孫悟空の父」。惑星ベジータを守るために戦った勇猛果敢な戦士・バーダックを主人公としたこのエピソードに影響を受け、鳥山は原作の回想シーンに同じビジュアルのバーダックを登場させた。その後、バーダックはゲームやスピンオフのストーリーでも多く取り上げられる人気キャラクターとなっている。

  また『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に関しても、同様の逸話があった。原作では激動の京都編が描かれた後、ラストシーンにて剣心が神谷道場に戻っていく。「ただいまでござる」と言いながら、仲間たちのもとに向かう後ろ姿は、読者を感動させる名場面として記憶されている。

 そしてこのシーンは、1996年から1998年にかけて放送された旧アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の初代オープニング「そばかす」のラストとほぼ同じ構図。原作者の和月伸宏は旧アニメの出来に納得していなかったという噂があるが、クリエイターとしてすぐれた表現は素直に参考にしていたのかもしれない。

アニメからの影響を受けた意外な人気作品

  また『NARUTO -ナルト-』は、ジャンプ漫画の中でもとくにアニメ版からの影響を強く受けている作品だ。連載初期と後期を比べると、絵柄が大きく変わっているのだが、その背景にはアニメ版の影響があった。

  作者の岸本斉史は、2014年に放送された『めざましテレビ』のインタビューにて、画風の変化について解説。アニメから入った人でも原作に馴染めるように配慮したらしく、「アニメが始まってから、アニメにちょっと近づけるようにしました」と語っていた。

  さらに岸本は、アニメーターからの影響を強く受けていることでも有名だ。『NINKU -忍空-』に携わった大物アニメーター・西尾鉄也の大ファンを公言しており、『NARUTO -ナルト-』アニメ化の際にも、キャラクターデザインをお願いできないかと自ら提案したという。

  そうした背景もあり、アニメ『NARUTO -ナルト-』では有名アニメーターが多数参加し、クオリティの高いアクションシーンの数々を生み出した。読者のためにという配慮を超えて、岸本自身がアニメーターたちの仕事に感化された面もあるのではないだろうか。

  原作を再現するだけで終わらず、時に原作を超えるポテンシャルを発揮してきたジャンプアニメ。今もさまざまな原作がアニメ化されているが、どんな化学反応が起きるのか楽しみだ。

 

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