『WIND BREAKER』“防風鈴”は現代の新選組? アニメ放送前に「王道かつ新鮮」な魅力に迫る

『WIND BREAKER』"防風鈴"は現代の新選組?

カッコイイ不良たちを深掘るバックボーンと成長に注目

 本作は、いわゆる“喧嘩最強”のようなプライドをかけて死闘を繰り広げるタイプの男くさい不良漫画とは、少し毛色が違う。そう感じるのは、"防風鈴"のメンバーたちの内面の成長やコミュニケーションが大切に描かれているからだ。

 たとえば、かつて一匹狼だった桜。オッドアイと白黒頭髪の風貌により他人から拒絶されてきたのに、なぜか街の人や"防風鈴"の仲間には必要とされることに戸惑いを感じていた。本当は、桜自身も根底では人を諦めていない。だが、人を受け入れたことがない桜は、仲間と関われば関わるほど変化する自分の心についていけず、葛藤を繰り返していたのだ。内に秘めたものを持っているのは、桜だけでなく"防風鈴"のメンバーや敵キャラクターたちも。その繊細な心の動きを丁寧にすくう描写には、無意識に感情移入してしまった読者も少なくないだろう。

 喧嘩に重きを置くだけでなく、バックボーンがしっかり描かれているからこそ、キャラクターひとりひとりをより一層立体的に感じとることができる。そして、そんな彼らが「対話」することで、自らの進むべき方向に気づき成長していくストーリーは、不良漫画としてだけでなくヒューマンドラマとしても見応えたっぷりだ。

 不良漫画の王道とともに、新しさを感じる『WIND BREAKER』。"防風鈴"はアニメではどういった活躍を見せてくれるのだろうか。放送日まで、彼らの活躍を楽しみに待ちたい。

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