歌舞伎音楽の世界を広く、深く掘り下げる! その道35年余の著者による大人のための教養書
長唄、竹本(義太夫節)、常磐津節、清元節、そして黒御簾音楽など多様なジャンルからなる歌舞伎音楽は、舞台を支える重要な柱だ。巧みに役者の演技を支え、場を盛り上げるのは、洗練された歌舞伎音楽の技によるもの。その特徴や歴史、鑑賞ポイントなどを網羅した、より深く歌舞伎世界を味わいたい大人のための教養書『音を聴く 深く観る 歌舞伎音楽事始』(NHK出版)が発売された。
劇場で皆さんを歌舞伎の世界へと導いてくれるものは何でしょうか。劇場前のポスター、絵看板や飾り物。正面玄関から足を踏み入れる瞬間の絨毯の感触、劇場のにおい。筋書(プログラム)の写真や文章。開演前のロビーや客席にあふれる独特の高揚感……。私たちは五感で劇場と歌舞伎を感じながら席に着き、歌舞伎の世界へといざなわれていきます。
そして、柝の音。チョンチョンチョン……という柝が刻む音とともに幕が開きますが、よく聴いてみると、幕が開くときには音楽も演奏されていることが多いものです。どんな音楽でしょうか。唄? 三味線? 太鼓や笛の音も聞こえるでしょうか。
歌舞伎に使われている音楽は、とても多種多様です。しかも、それぞれの音楽が担っている役割や、ジャンル、演奏場所、楽器、音色、発声など、音楽に関わる要素のそれぞれに、いくつもの種類やヴァリエーションがあり、それらが複雑に絡み合っています。多種多様で複雑だけれども、歌舞伎という一つの世界で統一されている、そんな豊かな音楽が歌舞伎を支えているのです。
この本は、歌舞伎音楽をなるべく分かりやすくご紹介することを目指しています。歌舞伎で使われる音楽ジャンルや楽器、歌舞伎音楽の歴史、そして音楽に注目してご覧いただきたい演目。それらをひとつずつ紐解いていきます。――本書「はじめに」より
商品情報
書名:音を聴く 深く観る 歌舞伎音楽事始
著者:土田牧子
出版社:NHK出版
発売日:2024年2月26日
定価:2,970円(税込)
判型:四六判並製
ページ数:292ページ(内カラー4ページ)
ISBN:978-4-14-081957-9