人類学者・中沢新一、チベットでの“人生を賭けた冒険”を描く集大成書籍 表紙はブライアン・イーノの作品

中沢新一、新作の表紙にブライアン・イーノ

 2024年2月15日に、思想家・人類学者の中沢新一『精神の考古学』(新潮社)が発売される。中沢自身の青年時代のチベットでの冒険を通して、人類の心の「普遍的構造」を伝える、432ページに及ぶ大作だ。

 「いまから四十数年前、私は一人でネパールにでかけて、その地でひっそりと難民の暮らしを送っていたチベット人のラマ(先生)のもとで、「ゾクチェン」という古代から秘密裡に伝えられてきた精神の教えを学び始めた。そこには私の予想をはるかに超える精神文化の富が秘蔵されていた――。」(「まえがき」より)

 遠い過去の時代に、人間はどのような心を持ち、なにを考えていたのか?人類の心の「普遍的構造」を求めて、まだそれが残っている現場、つまり秘境に身を置くべく、チベット密教の修行のためにネパールへ赴く。本書は、その“冒険”と、思考を野生に戻す驚天動地の修業の経験をもとに記された、中沢人類学の集大成となる決定版だ。

 カバー装画には、イギリス出身の音楽家、ブライアン・イーノ氏の作品がデザインされる。イーノ氏の「コンピューターにはアフリカが足りない」という言葉に触発された中沢新一の発案で、イーノ氏の作品集「ライト・ボックス」より、特別の許可を得て実現したという。

 中沢人類学の原点にして集大成となる一冊。中沢がチベット仏教の修行の中で恩師ケツン先生から得た知恵を通じて、中沢独自の思想に本書で迫ってみたい。

◾️著者紹介
中沢新一(なかざわしんいち)
1950年山梨県生まれ。思想家・人類学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。インド・ネパールでチベット仏教を学ぶ。帰国後、人類の思考全域を視野に入れた新しい知のあり方を提唱。人類学のみならず、歴史、哲学、民俗学、経済学、自然科学の分野にまたがる広汎な研究に従事する。中央大学教授、多摩美術大学芸術人類学研究所所長、明治大学野生の科学研究所所長などを歴任。著書に『チベットのモーツァルト』『雪片曲線論』『イコノソフィア 聖画十講』『東方的』『森のバロック』『三万年の死の教え』『純粋な自然の贈与』『フィロソフィア・ヤポニカ』『緑の資本論』『カイエ・ソバージュ』『精霊の王』『アースダイバー』『熊楠の星の時間』『レンマ学』など多数。

中沢新一

◾️書籍情報
【タイトル】精神の考古学
【刊行】2024 年 2月15日
【編集部】ノンフィクション編集部
【著者名】中沢新一
【著者名読み】なかざわしんいち
【造本】四六判
【定価】2970円(税込)
【ISBN】978-4-10-365903-7
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/365903/

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