批評家 東浩紀『観光客の哲学 増補版』刊行へ 22000字に及ぶ新章を収録

東浩紀による新著『観光客の哲学 増補版』

 批評家・作家、東浩紀による新著『観光客の哲学 増補版』(株式会社ゲンロン)が、6月19日より刊行される。

 本書は2017年に刊行された『ゲンロン0 観光客の哲学』の増補版。オリジナル版は第71回毎日出版文化賞(人文・社会部門)を受賞した。書き下ろしの序文と外国語版への序文二種、そして計22000字に及ぶ新章「触視的平面について」「郵便的不安について」を新規に収録している。

 グローバリゼーションが進むにつれて人々が排外的になるという現代の矛盾を、「観光客」という存在を考えることで乗り越える。それが本書の第一部のテーマだという。オリジナル版の刊行からの6年には、コロナ禍とウクライナ戦争の開戦があった。国境を越える移動が困難になる人類史的な経験を経たいまこそ、観光客の「ゆるさ」が求められている。今回の増補版刊行にはそうした背景がある。

 そして本書の第二部は「家族の哲学(導入)」と題されている。「家族」(あるいは国家)について語ることもまた、この6年で大きく意味を変えた。家族は一見すると、観光客と対照的な閉ざされた存在だが、じつは本来は偶然性に開かれたものなのではないか。この第二部の議論もまた、いまの時代に広く読んでもらいたい内容だという。

 ちなみに「(導入)」と記されているのは、本書の姉妹編である『訂正可能性の哲学』にその議論が引き継がれ、より本格的に展開されているから。こちらは7月~8月頃の刊行を予定している。

■著者プロフィール
東浩紀 あずま・ひろき
1971年東京生まれ。批評家・作家・哲学者。株式会社ゲンロン創業者。東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任。著書に『存在論的、郵便的』(1998年、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(2001年)、『クォンタム・ファミリーズ』(2009年、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(2011年)、『観光客の哲学』(2017年、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(2019年)、『テーマパーク化する地球』(2019年)、『ゲンロン戦記』(2020年)『忘却にあらがう』(2022年)ほか多数。

■書籍データ
発行:2023年6月
判型:四六判・ソフトカバー
ページ数:本体424頁
価格:2,640円(税込)
ISBN:978-4-907188-49-8

・一般販売について
書店での一般発売は2023年6月19日から開始。
ただいま、全国書店・各ECサイトにて予約受付中。
■   直販サイト(ゲンロンショップ)|https://genron.co.jp/shop/products/detail/780
■   Amazon|https://www.amazon.co.jp/dp/4907188498

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