『ONE PIECE』センゴク、黄猿、藤虎……個性的な海兵たち 世界の治安を維持する「正義」はどこへ向かう?

『ONE PIECE』個性的な海兵たち

  これまで『ONE PIECE(ワンピース)』では、さまざまな人間の信念や理想のぶつかり合いが描かれてきた。その対象は海賊だけではなく、海軍も含まれており、彼らの標榜する「正義」には無数のバリエーションが存在するのだった。

 物語が最終章に差し掛かった今こそ、その在り方を振り返っておくことには意義があるだろう。

 そもそも作中における海軍は、海のならず者から市民を守ることを役目としており、その地位が世界の治安を維持することにつながっている。そんな立ち位置を象徴するのが、元海軍本部元帥の“仏のセンゴク”が掲げる「君臨する正義」だ。

 センゴクはその信条を現実のものとすべく、時には非情に見えることもあるほど、徹底的に海軍の使命と向き合っていた。

 しかし彼が信じているのは、あくまで権力ではなく正義そのものだ。インペルダウンから多くの囚人たちが脱走した際、その事実を隠蔽した世界政府に対しては、疑念を抱いていた。

 また、センゴクの考え方をより先鋭化させた存在が、海軍元帥“赤犬”ことサカズキだ。彼が掲げるのは「徹底的な正義」であり、海軍の価値観にそぐわない者には一切容赦しようとしない。

 2年前のマリンフォード頂上戦争では、当時海軍大将だったサカズキが正義を貫く姿を見せ付けていた。その際には「人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし」とも豪語しており、海賊に対する憎悪は深い。

 他方で、海軍のなかにはハト派の存在も少なくない。代表的なのが、現海軍大将の“藤虎”ことイッショウだ。

 彼が体現するのは「仁義ある正義」であり、ドレスローザの港町でルフィに助けられた際には、その正体を知りながら恩義のために見逃すという行動に出ていた。

 そして世界政府の体質や王下七武海の制度に対しても疑念を抱いており、しばしばサカズキと衝突することからも、海軍の価値観を絶対視していないことがよく分かる。

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