『ONE PIECE』最波乱万丈の人生を送ってきたサブキャラのエピソード 最もつらかったのは誰? 

『ONE PIECE』エースとサンジなぜ父親が2人? 

  育ての親を目の前で失ったナミや、故郷を滅ぼされたロビンなど、『ONE PIECE』の主人公である「麦わらの一味」のメンバーたちはそれぞれ壮絶な過去を持っている。しかし波乱万丈な人生を送ってきたのは、彼らだけではなく、サブキャラクターたちも悲惨な目に遭ってきた。代表的なエピソードをいくつか振り返ってみよう。

  まずここで触れるべきは、空島編のモンブラン・ノーランドだろう。ノーランドは当時地上にあったジャヤで、シャンディアの部族を奇病から救った救世主。そのお礼として、遺跡シャンドラに眠る黄金郷の発見に至った。

  そして故郷に戻ったノーランドは、黄金郷に欲を出した国王を連れ、ふたたびジャヤを訪問するのだが、黄金郷は陸ごと消えていた。騙されたと勘違いした国王は大激怒し、ノーランドは虚言の罪で公開処刑されることになり、国民から「うそつき」と罵倒されながら、無念のうちに亡くなった。

  さらに、死後は民話『うそつきノーランド』として後世まで語り継がれ、子孫までもが貶められることに。汚名を着せられたまま命を落とし、死後に至るまで名誉を傷つけられるという、あまりにも悲惨な顛末だ。

  また、ドレスローザ編に登場したキュロスも、ハードな人生を送った人物だ。貧民街育ちの彼は殺人罪で逮捕されかけた際、腕っぷしの強さを認められ、剣闘士に。そしてコロシアムで3,000勝を上げ、リク王の娘・スカーレットと結婚する。

  しかし華々しい人生が続いたのは、この時まで。キュロスはドフラミンゴの起こしたクーデターで左足を喪失した上、シュガーの能力でオモチャと化してしまう。そして国中が混乱するなか、離れ離れになったスカーレットと再会するも、彼女は目の前で凶弾に倒れるのだった。

  しかもオモチャ化の副作用により、キュロスの存在は人々の記憶から消えていた。当然、スカーレットもキュロスを忘れており、あくまで他人として娘を託されることに。最愛の妻は最期までキュロスを思い出さないまま亡くなった。

  苦労して掴んだ幸せを、粉々に砕かれたキュロス。ルフィたちがドレスローザを訪れなければ、悲惨な人生となっていたに違いない。

愛する子どもたちを救えなかった母の悲しみ

  サンジといえば、ヴィンスモーク家の三男として壮絶な幼少期を過ごした過去で知られているが、その母親であるソラも運命に翻弄された人物だった。

  サンジを除くソラの子どもたちは、科学戦闘部隊「ジェルマ66」の冷徹な人間兵器だが、それは夫・ジャッジの独断によるもの。ジャッジは我が子を人間兵器にするため、四つ子を身ごもるソラに改造手術を強行したのだ。

  ソラは必死に反対したものの、ジャッジの計画から逃れることは叶わず、出産前に劇薬を飲んで最後の反抗を試みた。だが、救えたのはサンジだけで、他の3人は無感情な人間兵器として育っていく。

  追い打ちをかけるように、ソラは劇薬の後遺症で病床に伏してしまう。次第にソラは衰弱し、子どもたちと満足に触れ合えないまま帰らぬ人に。人の心が残るサンジやレイジュの存在は、唯一の救いだったことだろう。

  尊厳を踏みにじられても、強く生きる『ONE PIECE』の登場人物たち。これほどまでに人の心を揺さぶるエピソードを量産できる尾田栄一郎は、やはりただ者ではない。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる