『アンデッドアンラック』ジャンプ“否”王道のラブストーリーだーー全編クライマックスの超注目作

『アンデッドアンラック』超注目の理由

 アニメ『アンデッドアンラック』(以下、『アンデラ』)の放送が、10月7日スタートした。本作は週刊少年ジャンプ(集英社)で戸塚慶文が連載している異能バトル漫画を映像化したものだ。

 物語は、直接触れた相手に不運をもたらす「不運」(アンラック)という「否定の力」を持つ出雲風子が、「不死」(アンデッド)の力を持つアンディと出会う場面から始まる。アンディは風子の「不運」を利用して死のうとするが、どれだけ体がバラバラになってもすぐに再生してしまう。同時に彼は「不死」を逆手にとった戦いを得意としており、わざと肉体を破壊することで生まれるアクロバティックなアクションが、本作の見せ場となっている。

 そんなアンディが風子の「不運」の効果を見極めるために、彼女の肌にどれくらい触れると不運の大きさが変わるのかを調べる場面が第1話にはあるのだが、正体不明の力を分析して使い方を模索する場面が本作では繰り返し描かれる。

 今回の第1話は、アンディと風子が持つ「否定の力」を、ボケとツッコミの応酬で見せていく“異能力漫才”とでも言うような作りとなっている。同時に描かれるのが「不運」の力によって両親を含めた270名の命を奪ってしまった風子の絶望。「不運」によって他者を傷つけてしまうことを恐れ、一人で生きてきた彼女の孤独は、誰にも切ってもらえなかった長く伸びた髪に象徴されている。だからこそ、彼女の髪をアンディが切ってあげる場面はとても重要だ。あのシーンがあることによって、風子にとってアンディが特別な存在であることが伝わってくる。

 アニメ化された第1話を見て、本作がラブストーリーであることを、改めて実感した。一方、『アンデラ』の公式ホームページに掲載されている各登場人物が勢揃いした扉絵には、「全編クライマックス!」「これが少年ジャンプの“否”王道!!」という二つのキャッチコピーが添えられている。このキャッチコピーは『アンデラ』の魅力を簡潔に言い表している。

 まず「全編クライマックス!」だが、『アンデラ』のストーリー展開はとても早く。盛り上がる場面が毎週登場する。特に序盤は展開がめちゃくちゃ早いため、「次週で最終回?」と毎週思っていた。

 週刊少年ジャンプの連載は過酷な世界で、人気が出ないとすぐに打ち切られてしまう。そのため、打ち切りが決まった漫画が、劇中で描けなかった設定やキャラクターを最後に全て見開陳して、投げっぱなしのまま物語が終わることも少なくない。

 序盤の『アンデラ』は、打ち切り漫画の最終回のような、設定の開陳と超展開が高いテンションで次々と繰り返されたため、すぐに連載が終わるのではないかと心配だった。この出し惜しみをしない勢いのある展開は、現在の『アンデラ』の基調となっているが、はじめとても戸惑った。

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