『アンデッドアンラック』は冨樫作品を踏襲している? 「少年漫画」への批評的なテーマとは
「週刊少年ジャンプ」で連載されている戸塚慶文の『アンデッドアンラック』(集英社)は、死なない身体を持った不死(アンデッド)のアンディと、肌に直接触れたものに不幸が押し寄せる不運(アンラック)の力を持つ出雲風子の物語。二人は自分たちと同じ否定の力を持った組織(ユニオン)の否定者たちと共に、神の仕掛ける課題(クエスト)に挑む。
以下、ネタバレあり。
最新巻となる第7巻では、2つの大きな戦いが描かれた。
アンディたちが挑んでいる現在の課題は、四季の名を持つUMA、スプリング(春)、サマー(夏)、ウィンター(冬)の討伐とオータム(秋)の捕獲。前回の戦いで、オータムの捕獲に成功したアンディと風子は、サマーのいる台湾へと向かう。
一方、組織のリーダーで不正義(アンジャスティス)の力を操るジュイスは、ある雪山を訪れていた。そこにいたのは、組織を裏切った否定者のビリー。組織と敵対するアンダーという否定者集団を束ねるビリーはウィンターの居場所を嗅ぎつけ、UMA・バーンと共に待ち構えていた。彼の目的は、ウィンターをいつでも倒せる状態で見張り、他の四季のUMAを倒したジュイスたちと、「時間を遡る力」を持つ古代遺物「アーク」と、神からの報酬を受け取るのに必要な「円卓」を交換するように交渉することだった。そのことに気づいたジュイスは、ビリーのもとに一人で向かい「もう一度手を組めないか?」と持ちかけるが、交渉は決裂。
ビリーはUMA・バーンを呼び出し、対するジュイスはあらゆるものを腐らせる力を持つUMA・ステインを呼び出す。ステインは第2巻に登場したUMAで、アンディと風子が最初に捕獲した怪物だ。バーンは炎の巨人、ステインは一つ目の悪魔といった風貌で、巨大なUMAが正面からぶつかり合う姿には、否定者たちが知略を駆使して戦う異能力バトルとは違う怪獣プロレス的な面白さがある。
同時に、ジュイスVSビリーという二大組織のボスの衝突が描かれるのも、このバトルの見どころだ。主人公の能力をはるかに上回るラスボス級のキャラクターの戦いが物語の中盤で描かれるのは、近年のジャンプでは定番化している見せ場だが、うまいタイミングで持ってくる。