「ジョジョ」「鬼滅」「呪術」「ブルーロック」……2.5次元舞台が盛況　注目作の見どころは？

文＝嶋田真己

  映画『キングダム』シリーズや『東京リベンジャーズ』シリーズなど、今や漫画の実写化はヒットの法則の一つだとも言える。その傾向は、舞台においても同様で、漫画を原作とした舞台作品も数多く作られている。特に、秋冬は注目作が目白押し。そこで、この秋冬におすすめしたい2.5次元と言われる漫画原作の舞台作品を紹介しよう。

ミュージカル『のだめカンタービレ』（10月3日開幕／日比谷シアタークリエほか）

  女性漫画誌『Kiss』（講談社）にて2001年から2010年まで連載され、日本中にクラシックブームを巻き起こした二ノ宮知子による『のだめカンタービレ』。2006年から2008年には連続ドラマ化、2009年と2010年にはドラマ版の続きが映画化され、大ヒットした。

  物語の舞台は、桃ヶ丘音楽大学。ピアノ科に在籍しながらも指揮者を目指すエリート音大生の千秋真一が、美しいピアノソナタを奏でるピアノ科在籍の野田恵、通称のだめと出会い、成長していく。

  今回のミュージカル化で注目したいのは、ドラマ・映画版で主人公のだめを演じてブレイクした上野樹里が、実に13年ぶりにのだめ役を演じるということだ。ドラマファンにとってはもちろん、原作ファンにとっても上野ののだめは嬉しい配役では無いだろうか。さらに、フランツ・フォン・シュトレーゼマン役もドラマ・映画同様、竹中直人が演じる。

  ちなみに、千秋先輩を演じる三浦宏規は、舞台『千と千尋の神隠し』のハクや舞台『キングダム』の信を演じた経歴を持ち、漫画原作作品での好演が光る俳優の一人なので、安心感のあるキャスティングだと個人的には思う。

  クラシック音楽とミュージカルは親和性が高いこともあり、原作で描かれた音楽の世界が舞台上でどう表現されるのか、期待したい。

  ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険　ファントムブラッド』（2024年2月6日開幕／帝国劇場ほか）

  シリーズ累計発行部数１億2000万部を誇る、荒木飛呂彦による大人気コミックシリーズが、ついに初舞台化されるとして大きな話題を呼んだ本作。今回は、全ての始まりとなる「第１部　ファントムブラッド」をベースに舞台化される。

  主人公のジョナサン・ジョースターは松下優也と有澤樟太郎のWキャスト、ディオ・ブランドーは宮野真守が演じる。

  物語は、19世紀のイギリスを舞台に、メキシコから発掘された謎の石仮面にまつわる２人の青年の数奇な運命を描く。

  多くのファンを持つ原作だけに、舞台化への期待の声は大きい。それだけに、演出・振付を、2015年に荒木飛呂彦原作の唯一の舞台化作品である『死刑執行中脱獄進行中』で構成・演出・振付を手掛けた長谷川寧、音楽には人気ミュージカル作家のドーヴ・アチアを起用するなど、製作側も力を入れていることが窺える。果たして、漫画の世界観をどう作り上げるのか。注目が集まる。

舞台『鬼滅の刃』遊郭潜入　（11月12日開幕／メルパルクホール大阪ほか）

  劇場版『鬼滅の刃』無限列車編が興行収入404億円を突破し、社会現象化した『鬼滅の刃』は、2020年に初舞台化されて以降、シリーズを重ね、11月にシリーズ４作目が上演される。

  今回は、「遊郭潜入」。炭治郎たちは、音柱・宇髄天元とともに、鬼の動向を探るため、遊郭に潜入調査を行う。作品の世界観に寄り添う音楽とアクションが好評を博す本シリーズ。今作から主演の竈門炭治郎を阪本奨悟が演じ、原作の世界をステージ上に作り上げる。

ミュージカル『東京リベンジャーズ』（11月24日開幕／天王洲 銀河劇場ほか）　

 舞台『東京リベンジャーズ―聖夜決戦編―』（12月22日開幕／東大阪市文化創造館 Dream Hous 大ホールほか）映画化、そしてアニメ化も好評な和久井健による『東京卍リベンジャーズ』。主人公の花垣武道が人生唯一の恋人であった橘日向を救うため、12年前にタイムリープし、自身の過去を変えていくバトルアクション作品だ。

　2021年に舞台『東京リベンジャーズ』として初めて舞台化されると、翌2022年に舞台『東京リベンジャーズ―血のハロウィン編―』を上演。「聖夜決戦編」は３作目となる。一方で、ミュージカル化は今回が初。舞台とミュージカルの違いは、歌があるかどうかということであろうが、出演するキャストも脚本・演出家も違うため、色合いの異なる作品になることが予想される。

舞台『呪術廻戦』京都姉妹校交流会＆起首雷同（12月15日開幕／天王洲 銀河劇場ほか）

  現在も『週刊少年ジャンプ』で連載中の芥見下々による『呪術廻戦』は、人間の負の感情から生まれる呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描き、累計発行部数8000万部を突破するヒットを記録。2020年10月から放送されたTVアニメ第1期も全世界で大きな反響を集め、大ブームを巻き起こしている。そんな『呪術廻戦』は、2022年に初めて舞台化。シリーズ２作目となる今回は、伏黒恵や釘崎野薔薇たち呪術高専の生徒たちが京都校と交わる「京都姉妹校交流会編」と、高専の１年生たちが呪霊による連続死亡事件に挑む「起首雷同編」を描く。

  2.5次元舞台を中心に活躍する佐藤流司が主人公の虎杖悠仁を演じるほか、梅津瑞樹、三浦涼介ら人気俳優が顔を揃える。

舞台『ブルーロック』―2nd STAGE―（2024年1月18日開幕／京都劇場ほか）


  青い監獄と呼ばれるサッカー施設「ブルーロック」に集められた300人がふるいにかけられ、世界一のストライカーを目指すデスバトルを繰り広げる『ブルーロック』（原作：金城宗幸／漫画：ノ村優介）。2023年5月に舞台化第1弾が上演され、キャストたちの熱演とキャラクターの再現度の高さが相まって、大好評を博した。そうした好評を受けてか、早くも第2弾が発表された。主人公の潔世一を竹中凌平が続投することも発表されており、期待は高まる。

  このほか、現在上演中の『チェンソーマン』ザ・ステージ（10月1日まで天王洲 銀河劇場、10月6日～9日に京都劇場）、初演から8年をかけてついにシリーズ最終章を描くライブ・スペクタクル『NARUTO‐ナルト‐』～忍の生きる道～（10月8日～11月5日にKAAT神奈川芸術劇場ほかで上演）、太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々を描き、２度にわたって映画化、ドラマ化された不朽の名作を原作としたミュージカル『この世界の片隅に』（2024年5月上演）など、注目作は枚挙にいとまがない。ぜひ、気になる作品を見つけ、足を運んでもらいたい。

  ちなみに、舞台のチケットは早いものでは半年以上前から販売しており、情報を知って行きたいと思った時には、すでにチケットが完売していることも多いであろう。チケットが完売してしまったという場合には、公式サイトに当日券の情報や追加席販売のお知らせが掲載されていることも多いので確認してみるとよいだろう。さらに、公式リセールの「チケトレ」や「おけぴネット」も忘れずにチェックしてもらいたい（公式リセール以外のチケットサイトやSNS等でのチケットの売買は禁止となっているのでご注意を）。漫画原作の舞台の場合、ライブ配信が行われることも多いので、映像で楽しむのも一つの手だ。自宅でゆっくりと鑑賞するのもまた楽しい。

絵心甚八の再現度がすごい！　2nd STAGEが楽しみになる舞台『ブルーロック』を見る

嶋田真己
嶋田真己

フリーライター＆編集。エンタメにまつわるインタビュー記事をメインに、取材記事、コラム等、何でも幅広く執筆中。

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