EXIT兼近大樹が考える“虚構”と“現実” 「自分の描く理想って、誰かにとっては地獄だったりする」
自分を変えられたのは、納得のいかない人生だったから
――写真集に収録されたインタビューでも「最初で最後の1冊」と話されていましたが、「次に作るなら……」といった欲は出ませんでしたか?
兼近:一切ないですね。出し切りました、これ以上のものは今後作れないなっていうくらい。完璧な1冊になったと思います。
――もともと又吉直樹さんの小説に感化されて、小説を書くために芸人になったというお話をうかがいました。実際に小説や写真集と本を出してみての感想はいかがですか?
兼近:本当に夢が叶ったなって感じがしますね。自分のために歴史を残したなっていうか。きっと20年後とかにこの写真集を見るのも楽しいと思うんですよね。普通のアルバムを見返すのとはまた違って。こんなプロにディレクションしてもらって思い出を残すなんて、なかなかできることじゃないので。
――写真集とはまた別の形で本を作るという構想は?
兼近:エッセイは絶対書こうと思っているんです。目標は来年の誕生日(5月11日)……と思っていたんですけど、スケジュールがちょっと(笑)。なので、来年か、再来年になっちゃうかもしれないですけど。実は10年以上書き溜めているものがあって。でも10年前の文章って今見ると恥ずかしくて仕方ないんですよ。だから、そのままは出せないんで全部書き直しているんですけど。
――きっと、もう10年経てばそれも楽しめそうですけどね。
兼近:いや、そうなんですよね。でも、待てないんで(笑)。改めて10年前の文章を読み返してみると、本気で書いてるのがすごいなと。恥ずかしく見せる文章じゃなくて、普通に恥ずかしい……。
――いつかそのままの文章も読んでみたいです。
兼近:そうですね。考え方とか自分でも変わったなと思うんで。22、3歳くらいから意識的に変えていったところもあって。お酒もやめましたし、夜遊びに出るみたいなこともやめましたし……。お笑い芸人を目指して、面白くなるための行動だけをしたんですよね。
――一気に自分を変えるのは難しくなかったですか?
兼近:僕がスルッとできたのは、多分自分の人生に納得いってなかったからだと思うんですよ。きっと変えられない人って、「この環境心地いいな」とか「楽しいな」って思っているんじゃないですかね。納得いってない日々は、変えるか、死ぬかしかない。だから、僕は変えられたんだと思います。21歳で東京に出てきて、ボームレスやって、22の終わりぐらいから金持ちのおじさんの家に居候させてもらって、23歳から今の一緒に住んでる芸人3人とすみ始めて……そっからですね。いろいろ変わったのは。
――そのころから今のこうした状況って、どれくらい想像していたのでしょうか?
兼近:イメージは常に更新してきましたね。なんとなく最初に「こうなりたい」っていう漠然とした想像があって。でも大抵うまくいかないじゃないですか。何をやってもうまくいかないがあって、そのなかで、たどり着きたいイメージも少しずつ調整してっていう感じでしたね。で、今はもう何もないです。
――何もない!?
兼近:はい。今は空っぽですね。本を書きたいとか、っていう具体的な夢が叶って。次は何をしようかなって。ただ、ずっと面白くなりたいっていう欲はありますけど。面白いの基準も変わっていくじゃないですか。
――そうですね。時代によっても変化していくものですね。
兼近:その基準を探してるという感じですね。最近はネットでも注目されることも多くなったんですが、“ネットの注目”ってあくまでも1つの指標でしかなくて。注目されるためにはこれを言えばいいとかって、なんとなくもうわかるんです。面白くないことにみんなで食って掛かりたいっていうのがあるんですよね。でも実はネットの中にも層はあるじゃないですか。何を面白いと思うかはみんなバラバラで。だから、ネットで本当に面白いって思ってもらえるお笑いってすごく難しいなって。
自分の描く理想って、誰かにとっては地獄だったりする
――多忙なスケジュールのなかで、世の中の動きを冷静に分析しているんですね。一体いつそんな時間があるんですか?
兼近:いや、もう「24時間お笑い芸人であることを自覚する」っていうメモをずっと待ち受け画面にしているんで。だから、情報収集して、メモをして……才能があると努力しなくてもいいですけど、ない人はやっぱね、やんなきゃ絶対に追いつけないんで。努力しかできないですよ。僕には。
――そんな兼近さんの考え方にも影響しているであろう本を少しご紹介していただけませんか?
兼近:僕の好きな本でいいですか? もう信じられないくらい漫画を読んでるんで、漫画になりますけど。最近だと『違国日記』とか面白いっすね。生きにくさを感じている人にオススメです。『セシルの女王』もまだ追いつける巻数なので、ぜひ読んでほしいし。あと、あれだ『創聖のタイガ』もいいですね。今、逆に時代を戻ろうみたいなこと言われてるじゃないですか。これ、信じられないぐらい昔に戻るんで(笑)。でも、それで昔の良さとかにも気づけるっていう感じで。
――時代を俯瞰的に見られるテーマの作品がお好きですか?
兼近:いや、シンプルなバトル漫画とかも好きですし、あまりジャンルを問わずになんでもめっっちゃ読みます(笑)。あ、あれも読んだほうがいいか、『九条の大罪』も。漫画の話なら無限にできますよ!
――いろんな視点から“面白い”を考えている兼近さんが、こんな社会になれば面白いのにっていう理想のようなものはありますか?
兼近:うーん。前までは結構思うことはあったんですけど、でも自分の描く理想って、誰かにとっては地獄だったりするんですよね。それにやっぱり何か変えるとか、こうしたいって主張するのって、時間も体力もかかるので。僕はそういう先導していくことはあまり向いていないなっていうのを感じていて。だから、今はもうどっちかっていうと身を任せていきたいと思っています。
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判型:B5・並製・128ページ
ISBN:通常(978-4-8470-8501-7 C0072)、Amazon版(978-4-8470-8502-4 C0072)、
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