泉鏡花文学賞受賞で話題の作家・大濱普美子デビュー作品集『猫の木のある庭』文庫化

『猫の木のある庭』文庫化

 『陽だまりの果て』で第50回泉鏡花文学賞を昨年受賞し話題となった、大濱普美子のデビュー作『猫の木のある庭』(河出文庫)が7月6日に発売された。

 『猫の木のある庭』は商業誌に初めて掲載され、著者自身「ことさらに思い入れの深い作品」と述べる表題作をはじめ、不穏な影がするりと日常に忍び込む、白昼夢のような幻想譚6篇から成る珠玉の短篇集。2013年6月に刊行された『たけこのぞう』(国書刊行会刊)を改題・加筆修正の上、文庫化となった。

 大濱普美子は、第三短篇集『陽だまりの果て』で、昨年50回目を迎えた泉鏡花文学賞を受賞し、一躍話題の人に。選考委員をつとめた金井美恵子が「鏡花が選考していたら間違いなく推していた」と激賞し、現在、多くの書き手やメディアから注目されている。

 文庫化に際し、「文庫版あとがき」、金井美恵子による「解説」を収録。また、装幀はデザイナーの大久保伸子、装画は国内外から高い評価を得る武田史子の作品を使用した。

 惜しまれながらも品切れとなり、入手困難となっていた本作。単行本発売から10年の時を経てついに待望の文庫化。珠玉の作品集を堪能してみてはどうか。

 また「スピン/spin」第4号には大濱普美子のショートショート「オキヨメ」が掲載されている。

■収録作品・初出一覧
「猫の木のある庭」『三田文學』2009年 冬季号
「フラオ・ローゼンバウムの靴」『三田文學』2010年 冬季号
「盂蘭盆会」『三田文學』2010年 秋季号
「浴室稀譚」『三田文學』2011年 春季号
「水面」『三田文學』2012年 冬季号
「たけこのぞう」『三田文學』2012年 秋季号

■著者紹介
大濱普美子(おおはま・ふみこ)
1958年、東京生まれ。慶応義塾大学文学部文学科フランス文学専攻卒。87年、パリ第七大学《外国語としてのフランス語》修士課程修了。95年よりドイツ在住。2009年、『三田文學』で「猫の木のある庭」を発表。
著書に『たけこのぞう』(改題のうえ『猫の木のある庭』として文庫化)、『十四番線上のハレルヤ』がある。22年刊行の第三短篇集『陽だまりの果て』で第50 回泉鏡花文学賞を受賞。

■書誌情報
書名:猫の木のある庭(河出文庫)
著者:大濱普美子
体裁:文庫/304 ページ
発売日:2023年7月6日
税込定価:1,089円(本体990円)
ISBN:978-4-309-41975-6
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309419756/

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