【漫画】スーパーのレジを巡る主婦のバトル!? 異色のバトル漫画『レジチョイサーよしえ』
ーー今回の反響の感想を教えてください。
福井セイ(以下、福井):本作をTwitterに投稿したのは2回目なのですが、今回は以前よりも反響が大きくて驚きました。
実際にスーパーマーケットのレジ店員として働いている人から「リアルだった」や「懐かしかった」という声を頂けたことが嬉しかったです。
ーーバーコードが読み取りづらい商品など、レジ店員さんあるあるが新鮮でした。
福井:自分はレジで働いたことがないのですが、本作を描いた当時、スーパーで働いていた友人から店員さんのことを聞きながら作品をつくりました。レジ並びを早く抜けようとするギャグマンガを描こうと思っていることを友人に話しつつ、バーコードを読み取りにくい商品など、友人の体験を参考にしました。
ーー本作を創作したきっかけは?
福井:レジ並びを早く抜けることが戦略的バトル漫画になるかと思ったことが創作のきっかけです。本作のアイデアはネタ帳に書いていたネタのひとつでした。僕はどうでもいいことを戦略立てて考えることが好きで。
日常にはちょっと引っかかるような面白いことがあると思っていて、みんなはどう考えているか想像したり、想像を膨らませたらもっと面白くなるんじゃないかと思ったりーー。そんな日常の面白さを漫画にしたいと考えています。
ーーピンチな状況からの打開、新人さんの成長など、本作の構成をつくるなかで意識したことは?
福井:レジ並びでバトルするという、ある種ふざけている設定だからこそ、ライバルが出てきたり駆け引きが合ったり、クライマックスで見せ場があったりなど、典型的なバトル漫画に似せるほどに笑える作品になるかと思いました。また読みやすさも考慮してバトル漫画の型に忠実な作品としました。
ただ新人店員さんの成長はたまたま上手くいったという感じでした。「革命」と称し混雑したレジから新しいレジに変わる展開がクライマックスとして映えると思い、その展開を引き寄せるためのキャラクターとして新人さんがちょうどよくハマりました。
ーー「神選択眼(ゴッドレジチョイスアイ)」をもつよしえにとって、「革命」時にレジスキル値の低い新人さんがくることは想定どおりだった?
福井:はい、想定内だったと思います。よしえは新人さんが覚醒することも作戦通りだったのかと。新人さんがレジを打つ際によしえは「いつも通りでいいのよ!」と話すなど、よしえは彼女を信じていたのだと思います。
また最後に対決するふたりが店員さんに対し、男性は急かし、よしえは穏やかに見守るという構図は映画『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』で描かれる展開を参考にしました。
ーー本作のように親しみのある日常を題材とした作品を手掛ける理由を教えてください。
福井:平凡な毎日はネガティブな意味としてつかわれることが多いと思いますが、レジ並びの戦略を立てたりなど、平凡な日常は考え方を転換するだけで楽しくなると思ってます。
たとえばレジ並びで待っている際、レジ打ちの遅い店員さんにイライラしたり、ときに店員さんにその怒りをぶつける人もいるかと思います。でもレジチョイスの考え方をしていれば、レジ打ちの遅い店員さんを選んでしまったことを、面白い失敗として受け入れることができるようになるかもしれません。楽しい自己責任と言いますか……。
自分の考え方によって、なんてことのない日常でもめっちゃ面白く過ごせると思っていますし、自分はそうやって生きています。そんなことを表現するために漫画を描いているというと大げさですが、自分のすべての作品から日常の面白さを表現したいという思いが存在していると感じます。
ーー今後の目標を教えてください。
福井:本当は本作のような日常の面白いことを題材にした読み切り作品をたくさん発表していきたいです。ただ自分の生活もあるので商業媒体で作品を連載しながら、読み切り作品を描いていければと思います。
それと将棋漫画を描きたいと思っています。将棋は自分にとって1番の趣味であり、自分の好きな将棋を漫画に生かせないと死にきれないので。