『ドラゴンボール』亀仙人のとてつもなくハードな修行、中でも一番つらいのは?
鳥山明の名作漫画『ドラゴンボール』で、孫悟空とクリリンが本格的に弟子入りした師匠といえば、ご存じ、亀仙人である。物語の中盤では戦闘力のインフレが進みすぎてただのスケベな爺さんになってしまったのだが、かつては武天老師と呼ばれ、武道の達人として名を馳せた人物であった。
そんな亀仙人が開いた武道の流派が、亀仙流である。悟空の道着の「亀」のマークは、亀仙人の弟子である証しでもあるのだ。そんな亀仙流のモットーは、「武道を学ぶことによって心身ともに健康となり、それによって生まれた余裕で人生をおもしろおかしくはりきって過ごす」というものだが、その修行はとてつもなく厳しく、ハードな内容で有名だ。
まずは修行の最中には20kgの重さの甲羅を背負わなければならない(後半はその2倍の40㎏になる)。その修行は朝の牛乳配達から始まるのだが、それがしんどい。配達先が石段を上った岩山の上にある家など、とんでもない場所ばかりにあるのだ。しかも途中に急流を横切る場所、谷間に架けられた一本の丸太を渡る場所、恐竜に追いかけられる場所など、難所続きである。
この牛乳配達が、亀仙流の修行でもっともしんどく、きつい修行といえるかもしれない。なにしろ、朝からそれをやらされるのだから。そして、亀仙人は早く配達しないと牛乳の鮮度が落ちる旨を発言している。いかに難所を攻略し、スピーディーに配達するのかという、高い技能が求められる修行だ。
他にも、広大な畑を手で耕したり、工事を手伝ったり、ハチと格闘したりと、サメに襲われながら水泳をするなど、むちゃくちゃな修行をこなさなければならない。その一方で、勉強の時間も設けられているし、昼寝の時間もある。意外にもバランスのよい修行内容と言えるかもしれない。亀仙人も「よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む」ことを良しとしていると明言している。
その修行の仕上げとして、そして実力を試すために出場したのがご存じ天下一武道会だ。その中で、亀仙人が偽装したジャッキー・チュンという武道の達人と戦うことになり、クリリンが、そして悟空も決勝戦で破れるのだが、亀仙人は2人が万が一優勝して調子に乗ることがないようにと思い、自ら出場したのであった。この敗北を機に、悟空もクリリンも慢心することなくさらなる修行に励むのであった。
なんという弟子思いの、いい師匠なのだろうか。亀仙人は間違いなくスケベな爺さんだが、武道家としての心構え、そして弟子を育てる指導者としての能力は第一級である。優れた弟子を多く育てた亀仙人の功績は大きく、現代人の我々もその指導者としての面から学ぶことは多いといえる。