【漫画】パパ活で出会った相手が女性だったら? 不思議な関係を描いたSNS漫画が話題
――改めて本作を投稿した理由は?
幌山あき(以下、幌山):「月刊コミックビーム」で連載していた最新作『星屑家族』の単行本が2月に発売されたので、それを機にまた投稿しました。再掲によって新たに読んでいただいた方もいましたし、もともと読んでいた方が広めてくれているのも嬉しかったです。
――描いたときの着想を教えてください。
幌山:サイバー警察についての密着取材の番組を見たのがきっかけです。彼らがTwitterなどでパパ活界隈の未成年者と連絡を取って、駅で待ち合わせして補導するという内容。これが漫画のフックになる「裏切り」として面白いと思ったんです。だから「おじさんが来ると思ったら若い女性が来る」という展開を考えました。
でも、それだけだと弱いので、そこに来た女性にさらなる裏があれば次の話を読むフックになるなと。そこで若い女性があえてパパ活をしている女子に近づく状況は何かな、と考えた時に「取材」という名目ならありだなと思ったんです。それで浮かんだのが、東先生というキャラクターです。
――りこがスマホで、パパ候補とやり取りしているときの描写は妙にリアルでした。
幌山:Twitterで実際パパ活をしている子たちのアカウントがあって、界隈の雰囲気を垣間見られます。彼女たちは「こういう人がパパとしてやってきた」という経験を書いていて、そういうところからリアリティを拾っていきました。パパ活をしている子たちも対面では良い子ですが、「いつも会っている人が体関係を匂わせてきて嫌だった」みたいなツイートをしていて、相手との駆け引きなどもあるんだろうなと想像しながら書きました。
――りこのキラキラした感じ、東の落ち着いた感じの絵柄もいいコントラストになっています。
幌山:メインキャラがふたりなので、遠目から見ても違いが分かるようにとデザインしました。りこちゃんは大きな瞳、対して東先生は鋭い一重まぶた。性格の差を見た目でも出せたらいいなと。あと、ふわふわした子の内面がシビアだとギャップ萌えというか、思った通りの人ではない方が読んでいる方も興味がわくのかなと思いました。
――ご自身的には両者のどちらに近い性格だと思われますか?
幌山:東先生寄りだと思います。実際に自分も漫画家という作家業をやっているのもありますし、自分の考え方を彼女に反映させた部分もありました。りこちゃんのシビアな部分も自分を投影させた部分があります。私と重なる部分がないと気持ちを乗せて書けない気がするんです。
――今振り返って『マーブル・ビター・チョコレート』は幌山さんにとってどんな作品でしょうか。
幌山:当時、出版社の編集者さんと漫画を作っていましたが、なかなか上手くいかなかったんです。それで力を抜いて、自分の好きな尖ったものを描こうと思ったのが本作でした。これが人気になって今があるので、私に漫画家としてのスタートを切らせてくれた作品です。
ネガティブなイメージを持つ「パパ活」を扱うことは覚悟を伴いましたが、一方でそれを「覗いてみたい」という興味を持っていると思います。私も知的欲求が旺盛なタイプなので描いていて楽しいです。
――多様化・形骸化する「家族」を題材にした『星屑家族』も単行本化されました。今後の展望はありますか。
幌山:自分が考えていることや「これはこうなのではないか?」ということは、漫画という形にして描いていきたいです。これを読んだ方の考えや認識が深まれば嬉しいですね。2月に発売された『星屑家族』の単行本もぜひチェックしてください。