掟ポルシェ「サイゼリヤに文句を言ったらバチが当たります!」 不味いものを不味いと言える男のグルメ論

掟ポルシェが語る、男のサイゼリヤ論

サイゼリヤは文句の付けどころがない

――サイゼリヤについて語った「美味さと安さの感動的な同居……『サイゼリヤ』最高!」という章があります。サイゼリヤ論は何かとSNSで炎上するトピックなのですが、それらはどう見ていますか?

掟: 文句を言う人の多くは場所と用途の話が前提にありますよね。例えば「美味しい店が色々ある都会」で、「デートに使う店としてはどうなのか」というのがよく炎上しているサイゼリヤ議論。例えば吉田豪さんはサイゼリヤを「値段相応の評価」としてますけど、彼は美味しい店がたくさんある新宿に住んでいる独身男性で、高いお金を払う価値のある店に行きやすいけど、自分の場合、嫁子供と家族で行くことがほとんどで、東京都下のあまりパッとしない飲食店しかない街に住んでいるのでサイゼリヤの価値が最初から違う。選択肢がほぼないうちの近所だとサイゼリヤは救いの女神にすら見えてきますよ(笑)。味や技術の向上もきちんと目指しているし、それでいて安さはキープしていて、感染症対策もしているから文句の付けどころがない。

 あとは、人によっていろんな意見が出てくるのは、その人がサイゼリヤの何をいつ食べたかにもよるのかなと。自分は「ファミレス」というジャンルで考えると、他の店が苦手でして。意外と高いじゃないですか、他のファミレスって。あの値段ならチェーン店じゃないちゃんとした店行くわって話で。サイゼリヤは安いのに旨い。しかも最近リリースされた新メニューではかなりのブラッシュアップが行われています。この前、小3の娘が食べていた「ラムのランプステーキ」や「たっぷりペコリーノチーズのポモドーロ」は、低価格で食べられるのが信じられないくらいクオリティが高かったです。

「値段相応じゃん」と言うかもしれませんが、それでもすごいこと。コスパ的にも500円出して800円くらいのものが食べられる感覚で、これって家族連れにはとてもありがたいことなんですよ。メニューに描かれた「間違い探し」で注文の品が出てくるまで子供と一緒に盛り上がれますし。文句を言ったらバチが当たります!

――企業努力といえば、この本のなかにも「昔のままの味」、「味の古いものが苦手」、「修業は大事」など、食に対して努力していることや、時代に合わせて味を更新することへの評価が度々出てきます。これについても改めて聞かせてください。

掟:同じアーティストでもファーストアルバムとサードアルバムで全然違ったりするように、店もいつ、どのメニューを食べるかで味が違うことがよくあります。いい時期に自分の好みの店に出会うことはとても重要です。ずっと通っているひつじそばの荻窪「人と羊」は、いくつかのメニューでは最初に行った時より今の方が格段に旨いですし、最新状況を知ることは絶対必要。よくいるじゃないですか、ファーストアルバムだけ聴いてそのすべてを判断してしまう人。あれ本当にもったいないなぁと思いますね。飲食店の場合は特に開店当初は不安定なことが多いですから。

 その点でチェーン店は、イメージが固定化されているから難しいと感じます。途中から美味しくなっても「どうせチェーンでしょ」と思われてしまう。でも、うちの嫁と息子は、松屋の「シュクメルリ鍋定食」を「今まで食べた料理の中で一番旨かった」と言ってましたね。俺は牛丼屋は吉野家一択なんで店に行くこと自体ありませんけど(笑)。

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