【漫画】漫画を描くために必要なトレーニングとは? 『4ページのネームはミット打ち』が教えてくれること

ーーちょびさんの受け取ったアドバイスを実際に4ページで表現している点が秀逸だと感じました。なぜ4ページで漫画を描くことが必要だったのでしょうか。

ちょび:漫画を4ページで描き始めてから、ページ数の多い漫画も4ページ区切りで物語が進んでいくようなリズムがあることを感じました。おそらく佐渡島さんが私にやらせたかったのは、そのリズムに気づいてもらうことだったのかもしれません。

 またTwitterでは1つの投稿に添付できる画像数もちょうど4枚ですよね。Twitterに漫画を投稿することは佐渡島さんに勧められて始めたのですが、もしかしたらSNSに投稿することも関係しているのかもしれないです。

ーー4ページの漫画を描くなかで感じたことを教えてください。

ちょび:とにかく、めっちゃ難しいです(笑)。最初に描いた漫画が300ページもある作品で、私は短くても60ページは描いてしまうタイプでした。佐渡島さんには「まるで3分間の講演をして欲しいのに、1時間の講演をしているようだ」と言われましたね。

 4ページの漫画を描き続けていますが、どうしても作品の情報量が多くなってしまい、オチまでたどり着かないこともあります。4ページって自分の思っているよりも小さな箱なんだと感じています。

ーー「4ページの漫画を描いてみよう」というアドバイスの本質は何だと思いますか。

ちょび:漫画として表現するための技術を学ぶこともそうですが、編集者と共に漫画をつくるために必要なやり取りを覚えることが本質なのかなと思います。

 本作でも描いたように、漫画家と編集者が呼吸を合わせることってものすごく大切だと感じています。1時間の講演をしてしまうと、3分間の講演よりも修正することが困難ですよね。少ないページの作品を描いて、編集者の方に見せて、フィードバックをもらって……といったサイクルを短いスパンで繰り返す。そうして佐渡島さんと呼吸を合わせていくことが、4ページで描くことの背景にあるのかもしれないです。

ーーまさしく編集者の方と漫画を描くためのトレーニングなのですね。

ちょび:これは本作で描けなかったのですが、漫画を描き続けるなかで自分のリズムがつかめなくなってしまうこと、漫画家が筆を折ってしまうことがあると思います。佐渡島さんとやり取りするなかで、漫画を描くなかで転ばないための脚力をつけようというメッセージも感じます。

 漫画を描いて、編集者の方に意見をいただき、自分で修正する。これまでひとりで漫画を描いていたからこそ、生活のなかで編集者と漫画を描くことのリズムを学んでいる最中なのだと思います。

ーーちょびさんは4ページの漫画や修正の過程を投稿し続けており、多くのコメントも寄せられているかと思います。

ちょび:作品の感想よりも修正による作品の変化に関する声をいただくことが多いです。漫画が変化していくところを楽しんでくださることに、投稿のやりがいを感じています。

 漫画を修正することって孤独でつらい作業なんですよね。修正する過程をオープンにすることで、様々な人にとって楽しみや励みになるとうれしいです。

ーーひとりで描くことと編集者さんと共に漫画を描くこと、違いはありますか。

ちょび:ぜんぜん違います。私はひとりで漫画をつくり続けてきたがゆえに、自分の限界も知っています。自分の描いた漫画の不具合に気づくのは2、3年ほどの時間が経ったあとでした。しかし編集者の方に見てもらえると5分ほどで不具合に気づくことができるのです。2年と5分ってものすごく大きな違いだと思います。

 漫画を見てもらいご指摘をいただくことは、まるで理想にすぐたどり着けるような感覚で、すごく気持ちがいいです。 

ーー今後の目標について教えてください。

ちょび:映像化できる作品をつくりたいです。そのための目標として、まずは4ページの漫画を極めようと考えています。これからも作品と共に修正の過程をオープンにしていこうと思うので、応援していただけるとうれしいです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる