ぜんぶ君のせいだ。如月愛海×もとちか襲が語り合う、互いに惹かれる理由 「人間としてずっと一緒にいられる」

ぜん君。如月愛海×もとちか襲 対談

 “病みかわいい“をビジュアルコンセプトにするユニット「ぜんぶ君のせいだ。」の如月愛海と、もとちか襲が1月19日、フォトストーリーブック『朧』をリリースした。

如月愛海 / もとちか襲 PHOTO STORY BOOK『朧』(コドモメンタル)

 インタビュー時にも「愛海と襲って、入ったときから組み合わされることがすごく多くて」「シンメトリーというかバランスの良いペアみたいな」と見つめて笑い合う2人。

 そんな関係性があってこそ撮影することができた濃厚な写真たち。そこに、ぜんぶ君のせいだ。の歌詞を手掛けてきた作詞家・GESSHI類ならではのテキストが添えられ、リアルとフィクションとが混ざり合う世界へと誘われる作品に仕上がった。

 気づけば自由時間を共に行動するなど、ごく自然に仲良くなったという2人。フォトストーリーブックの制作を通じて、改めて気づいたお互いの魅力についてじっくりと語ってもらった。(佐藤結衣)

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ぜんぶ君のせいだ。如月愛海×もとちか襲メッセージ

自分たちでも『朧』は、すごく不思議な作品に


――これまでリリースされた写真集やフォトブックとはまた違ったテイストの作品になりましたね。

如月愛海(以下、愛海):そうですよね。なんか自分たちでも完成した本に目を通したら「フーッ」って(笑)。なんか1本の重い映画を観た後みたいな。

もとちか襲(以下、襲):自分たちですら「疲れたー」みたいなね(笑)。すごく不思議な作品になったなと思います。でも、社長から「今のぜん君。で重さとかカッコよさを出せるのはこの2人」って言われていたので、そういう意味では狙い通りなのかも。

――どういった経緯で制作されたものなのでしょうか?

愛海:最初は「この2人でやってみたいことない?」っていうところから始まって。最初は普通のフォトブックを作る感覚でいたんですけど、撮影の直前にGESSHI類さんのテキストが乗るというアイデアが出まして。その段階では「和テイスト」という方向性が見えているだけで、撮影とテキストはほとんど同時進行でした。

――では、撮影のときにはテキストはない状態で?

愛海:はい。でも、不思議とイメージが一致していた感じはありましたね。とりあえず、感情としては“悲しい“みたいな。

襲:たしかに、私も思い返してみると“悲しい“に寄ってた(笑)。遊びカットみたいな感じで笑顔が入ることもあったけど、基本はずっと一定の感情でズーン、みたいな。

愛海:そうそう。撮影現場そのものは和気あいあいとしていたんですけど「じゃあ、撮ります」ってなると、2人ともシュッと変わって。たしかに写っているのは自分たちなんですけど、どこか自分たちじゃない人の物語という感覚があって。得体の知れない宇宙人のような気持ちで撮影していましたね。海に降り立って、ここがどこかもわからない、みたいな。

襲:だって、最初からまさに海で打ち上げられた感じのカットだもんね!

――幻想的な海辺のシーンに「どこで撮影したんだろう?」と思いました。

愛海:撮影は京都全域で。時期は11月だったかな?

襲:しかも、朝3時くらいから撮影スタート! この海のシーンは明るくなってきてるんですけど、最初に撮ったのは花火のカットで。めっちゃ寒かったですよ~。

愛海:この人、すごくずるくて! 着物を広げて、そこに足を置くんですよ。座ったときに冷たくならないように(笑)。

襲:アハハハ。1枚でも下に布がほしいという気持ちが出ちゃって!

愛海:手にとってくださった方にはよく見てほしいんですけど、自然に座ったにしては裾がキレイに広がり過ぎなんですよ。

――これは襲さんの努力のあとが見えますね(笑)。

愛海:でも襲のそういう「自分はOK」みたいなマイルールの強さを、私はすごくかわいいなと思っていて。撮影のとき、足が寒いからって私が座っているお尻の下に自分の足をネジネジして暖を取ろうとしたんですよ。なのに、今度はお風呂場で撮影するときに、私の足が襲のお尻にちょんってあたったら「やー! やめて!」みたいに言ってきて。「いやいや、あなたさっき私のお尻でネジネジして暖とったのに、自分はダメなんかい!」みたいな(笑)。でも私は基本的に「まいっか」な人間なので、そういう独特なマイルールで動いている襲が愛しいんですよね。

襲:へへへ。でも私から見たら、むしろ愛海の性格のほうがかわいくて。撮影のとき、カメラに写らない程度に指でちょんちょんとか、ぷにぷにって突っついてきたりするんですよ。たぶん、触るとかあまり意識してない感じで。こんなカメラにはスッとした表情を見せてるのに、ちょっとした瞬間にそんなスキンシップがナチュラルにできちゃうって「え、かわいいじゃないの!」って思っていました。

愛海:意味わからんけど(笑)。

襲:なんていうか、そのくるくる変わる雰囲気に「どっかに行っちゃうよ」って惑わされそうになるところがあって。そこが愛海の魅力だなっていつも思います。

――なんだかカップルのノロケのようにも聞こえますね(笑)。

愛海:そういうふうに言われることも結構ありますね。前に「WORLD END CRISIS」のMV撮影のとき、いつもどおり襲とくっついただけなんですけど、それを見た監督さんが私たちのぬちゃぬちゃなシーンを入れてくださったんです。だから、患い(ファン)さんの間にも、もしかしたら「彼氏と彼女みたいだね」っていうイメージがあると思うんですよね。私としても、もともとセクシャルな面は曖昧なところもあって、人間的に好きっていうざっくりとした感情で見ているんです。

襲:わかる、私も人間的に見てる感じ。

愛海:そして、この人は私をすぐメンズにしたがります(笑)。

襲:ふふふ。私は堂々としていてカッコいい愛海が好きなんで、そういてほしいという願望が強いのは認めます(笑)。かわいいに振り切った自撮りを見ると「ちょっと気に食わないなー」みたいな感情が出ちゃうんですよね。

愛海:でも「身長伸ばして!」は、さすがに無理だから(笑)!

2人でいろんな感情のやりとりをした、今だから作れた


――「こうしたい」がはっきりしている襲さんと、「まいっか」の愛海さん。一見すると真逆の性格に感じられるのに、息が合うというのは面白いですね。

愛海:襲とは全然違うように見えて感覚は似てて。同じ幹から枝分かれしてるみたいなんですよね。それは最初に会って数日過ごしたくらいから「めっちゃ感覚が近い」「人間としてずっと一緒にいられるタイプだ」って動物的に察知したというか。

襲:前に沖縄で自由時間があったときも、ずっと一緒にいたもんね。夜までカラオケ行ったり、しゃぶしゃぶ食べに行ったり。そのしゃぶしゃぶ屋さんが入ってみたら想像してたよりも高級なところだったんですけど「せっかくだから高くてもいいよね」みたいに動揺することなく。こういう感覚が合う人って、いるとは思うんですけど、これまでなかなか出会えなかったんですよ。

愛海:そのあたりの臨機応変さというか、ノープランを楽しめる感じが近いんだろうなと。襲にはマイルールがあるけど、そこを諦めるのも早くて気持ちよくて。だから2時間くらいあてもなく歩くみたいなことも、襲となら何も気を使わなくていい安心感があります。ライブでもそうなんですよね。襲たちが入ってきたとき、ライブの中で感情のやりとりをしたんですけど、私の感情を1番最初に汲み取ってくれた感があったのが襲だった。逆に、襲が今キツい思いをしているのかなみたいなものも私にはすごくわかるときがあって。多分、襲は……あれ、なんか恥ずかしくなってきたんだけど(笑)。

襲:ふふふ、もっとちょうだい♡

愛海:負の感情とか強い感情の受け渡しのときも、すごく私とマッチしていて。別に一緒に歌うパートじゃないんですけど、視線が合う瞬間が多いんですよ。「お前、いけるの?」「なんでまだそこにいる?」「もっと来いや!」みたいな。

襲:あるある。この前、愛海から「襲は勝手に合わせに来るから」って言われてハッとしたんですよね。自分的にはそういうつもりはなかったから。本能的に、心が勝手に合わせてるんだろうなって。「合わせよう、合わせよう」じゃなくて「合っちゃう」。 

――わかりすぎて、逆に衝突してしまうようなことはないんですか?

愛海:そこもないんですよね。ただ、ちょっと暴力には怯えてるかも。

――え、DV疑惑ですか!?(笑)

愛海:ハハハ。どうしたらいいかわからない感情の高ぶりを、まず私にぶつけてくれるんですよね。髪の毛をグチャグチャグチャーって掴まれたり、肩をバシバシ叩いたり。でも、私は「まいっか」な人間なので、それはどうでもよくて。どっちかというと、何もアクションを起こさず溜め込んで溜め込んで爆発されるよりも、襲みたいにわかりやすく何かを思っているんだって見せてくれるほうが付き合いやすい。よくレコーディング前とか、全然会話にならない“かまってちゃん“になるんですけど、そのうち私が気にかけているのを楽しんでる感じも丸わかりなのもおかしくて(笑)。

――なんだか「怒ってるのを察して!」っていう彼女みたいですね(笑)。その“かまってちゃん“は、愛海さん以外のメンバーには発動しないんですか?

襲:うーん……ここまではならないですね。わかってるからかもしれないです。本質的に愛海には嫌われる心配がないっていうか、受け入れてもらえる安心感というか。

愛海:だから逆もあるんですよ。襲だけにしか言えないみたいなものとか。「このステージング全然良くなかったよ」とか、キツい一言が出ちゃうときもありますし。でも「この人はわかっている」って思ってるから。

――そのキツい一言に反論することはないんですか?

襲:ならないですね。「だよね」って(笑)。

――それはいい関係性ですよね。そんな信頼関係があってこその写真たちなのかなと思いました。

愛海:それは絶対にあります。やっぱり襲が入ってきたころは「ついていこう」っていう気持ちが強かったと思うんですけど、そこからお互いの苦しい部分とかも出し合って打ち解けたからこそ撮れた表情とかもあって。たぶん、入って間もないころにこんなに顔を近づけて撮ったら多分この人照れて笑っていたと思うんですよね。

襲:絶対そうですね!

愛海:それを考えると、この作品を作ろうってなったのが今でよかったなって。お互いの感情にすごく敏感だから、どちらかがその感情になったら、自然とそうになれるみたいな瞬間がすごくあって。撮影もすごく楽しかったですね。

襲:自分で言うのもアレですけど、最終的に写真を見てもめっちゃバランスがいいなって思いました。目つきとか、顔の向きとか。バラバラに撮ったシーンなのに、1つのページになると「めっちゃ合うじゃん」って思って。

愛海:そこまで「こう撮ろうね、ああ撮ろうね」って細かく打ち合わせしたわけでもないのに、『朧』のイメージが驚くほど一緒だった。それは私と襲だけじゃなく、撮ってくれたカメラマンのさなちゃん(うつみさな)も、一緒にいてくれた社長も、そしてテキストを書いてくれたGESSHI類さんも。本当にみんなで1つの作品を作り上げたみたいな感じでしたね。

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