【漫画】かつての恋人同士が理容室で再会、それぞれの気持ちは? せつなくもあたたかな物語『髪』Twitterで話題

ーー過去の恋愛を描きながら、悲壮感ではなく前向きな感情を覚える作品でした。創作のきっかけを教えてください。

にちようび:そもそも本作は漫画賞に投稿するために描いた漫画でした。そのため作品のボリュームは数十ページ程に限られ、焦点を当てるキャラクターを限定する必要があります。そのため舞台を密室にした方が描きやすいと考えました。

 自分は理容室がすごく好きで、髪を切る道具に面白さを覚えたり、職人さんがいるところに魅力を感じています。なので作品の舞台は理容室にしました。

ーーなぜお互いに髪を切り合うというシチュエーションにしたのでしょうか。

にちようび:過去の恋愛を作品で描くと決めたとき、「髪」は過去のモチーフとして使えると思ったんです。過去を清算しようとしているふたりには、お互いに髪を切り合うというシチュエーションがぴったりだと感じました。

ーー物語の序盤で霧崎さんは指輪を付けていないことから、SNSでは霧崎の結婚の真偽を考察するコメントも見られました。

にちようび:霧崎さんが本当に結婚していたのか、実は自分もわかりません。作品を描いた当時、交際相手や周囲の人々の行動や発言が本当か嘘かわからなくなってしまう瞬間があると感じていました。そんなことを表現したいと思い、自分でも真偽を決めずストーリーを作りました。

 また自分の感じた恋愛の雰囲気を感じてほしいと思い、わざとどちらにも捉えることのできる描写を入れてみました。

ーー霧崎さんは「さよなら」を、安田くんは「またね」を別れの言葉とした点について教えてください。

にちようび:ふたりは同じ気持ちを抱いていないように感じたので、異なる台詞にしました。とくに未練を抱いているのは安田くんの方ではないかと思い、彼には「またね」という台詞を選びました。過去の恋愛を男性は名前を付けて保存し、女性は上書きで保存すると聞いたことがあることも影響しているかと思います。

ーーそんな安田くんが煙草を吸いながら「おめでとうって言ってなかったな」と思うシーンが印象的でした。

にちようび:霧崎さんの結婚と同じく、安田くんはネガティブな感情を抱いていないくらいにしか考えていません。安田くんが霧崎さんを祝福したくないといったふくみは想定しておらず、気を遣う余裕すらないほど色々なことが起きて、祝福することを忘れていたという感じです。

ーーにちようびさんが漫画を描き続ける理由を教えてください。

にちようび:えー……なんででしょうかね(笑)。漫画を描くことは辛いことばかりなのになんで描いているのだろうかと思っています。

 ひとりでも描けるということは大きなメリットだと思っていました。アニメや映画と比べると、ひとりでも作品を完成させやすいのかなと思います。ただ最近は、本当はひとりで作品は作れないなとも感じています。

ーー今後の活動について教えてください。

にちようび:別名義で漫画賞を受賞し、商業誌に漫画を掲載させていただきました。将来的には商業誌での活動で収入を得ることを目指しています。現在は勤めていた会社を退職し自営業として活動しているので、描くしかないと思い、漫画を描き続けています。

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