『呪術廻戦』『チェンソーマン』『怪獣8号』……人気ジャンプヒーローたちの意外な共通点
トーハン調べ2021年3月期【コミックス】月間ベストセラー
1位 『呪術廻戦』(15)芥見下々 集英社
2位 『チェンソーマン』(11)藤本タツキ 集英社
3位 『怪獣8号』(2)松本直也 集英社
4位 『呪術廻戦 東京都立呪術高等専門学校』芥見下々 集英社
5位 『呪術廻戦』(14)芥見下々 集英社
6位 『呪術廻戦 公式ファンブック』芥見下々 集英社
7位 『呪術廻戦』(8)芥見下々 集英社
8位 『呪術廻戦』(1)芥見下々 集英社
9位 『呪術廻戦』(9)芥見下々 集英社
10位 『呪術廻戦』(2)芥見下々 集英社
トーハン調べによる、2021年3月期のコミックスのベストセラーランキング(1位〜10位)は、上記のとおりである。あいかわらずジャンプ・コミックス――とりわけ『呪術廻戦』強し、という結果だが、本稿では上位3作の「共通点」について考察してみたいと思う。
まず、これらの作品は、いずれも「主人公が魔物と広義の“合体”をすることで、敵(悪)側の力を取り入れている」ということが挙げられよう。これについては、以前、3月9日トーハン調べの週間ベストセラーランキングの分析記事でも書いたので(https://realsound.jp/book/2021/03/post-723032.html)、興味のある方はそちらも併せて読まれたい。
具体的にいえば、それぞれの作品の主人公たち――『呪術廻戦』の虎杖祐仁は特級呪物の両面宿儺を「受肉」し、『チェンソーマン』のデンジは親友の悪魔・ポチタと一体化、そして、『怪獣8号』の日比野カフカは、小型の怪獣(?)を飲み込んでしまったことで、敵(悪)側と同じ力を手に入れている。
ではなぜ、こうした「毒をもって毒を制す」タイプのダークヒーローがいま受けているのか。それは、おそらく「清廉潔白な正義の味方」の存在が、正義と悪の境目(さかいめ)が曖昧(あいまい)になっている現代においては成立しにくくなっているからではないか、というのが私なりの見解なのだが、実は、前回の記事ではほとんど触れていない、もうひとつの「共通点」が、この3人にはある。