野村萬斎×三谷幸喜ドラマ化『死との約束』 アガサ・クリスティーの原作はどんな作品?
また、小説とドラマでは異なる展開もあった。ドラマにおいて描かれた名探偵・勝呂武尊(野村萬斎)の淡いロマンスは原作にはない部分であり、脚本の三谷幸喜が新たに書き加えた要素である。このロマンスは、アガサ・クリスティーの短編集『教会で死んだ男』に収録される『二重の手がかり』から引用されていると思われる。
目に見えない世界を心の中で思うように想像できることが読書の醍醐味だ。特にクリスティーの描く世界は細やかな情景描写に溢れ、我々がさらに深く作品と一体化し、己の思い描く小説の世界を作るための手助けが至る所になされている。三谷の脚本で新たに浮き上がる『死との約束』に加えて、自分の解釈で構築する『死との約束』を楽しんではいかがだろうか。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■書籍情報
『死との約束』
著者:アガサ・クリスティー
翻訳:高橋豊
出版社:早川書房
■放送情報
スペシャルドラマ土曜プレミアム『死との約束』
フジテレビ系にて、3月6日(土)21:00〜放送
出演:野村萬斎、松坂慶子、山本耕史、シルビア・グラブ、市原隼人、堀田真由、原菜乃華、比嘉愛未、坪倉由幸(我が家)、長野里美、阿南健治、鈴木京香 ほか
原作:アガサ・クリスティー『死との約束』
脚本:三谷幸喜
プロデューサー:渡辺恒也、高丸雅隆(共同テレビ)
演出:城宝秀則(共同テレビ)
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp//yakusoku/