坂ノ上茜が語る、地元・熊本への愛と25歳の決意 「これからは私が恩返ししていく番」

女優・坂ノ上茜が語る「自身のルーツ」

 女優・坂ノ上茜の1st写真集『あかねいろ』が2月12日に発売される。本作は、映画やドラマに多数出演し『王様のブランチ』や『町中華で飲ろうぜ』でレポーターを務めるなど、マルチに活躍する彼女が、25歳の節目に自身の「ルーツを辿る」写真集となっている。

 本作は全編、坂ノ上茜の地元である熊本県で撮影されている。地震から復興に向かう2020年の熊本の今の姿を、彼女の足跡とともに歩む。穏やかな町並みはどこか懐かしく、生まれ育った場所で見せる柔らかな彼女の表情を眺めるだけで、心地いい安心感に包まれる。

 ほんのり訛った話し方で、家族への想い、仕事への意識、そして熊本への愛を語る坂ノ上茜。写真集を見ていても感じることだが、彼女の表情や言葉には温度がある。それは、穏やかで優しくて、力強い。きっとこのタイミングで写真集を出すことに、大きな縁や意味があるのではないだろうか。復興に向かう熊本で撮影されたことで、よりいっそう彼女のパワーが感じられる一冊となっている(とり)。

25歳、ルーツを辿る

――写真集の話を提案されたときの心境は?

坂ノ上:写真集は出したくてもなかなか出せるものではないと聞いていたので「まさか、私が」という気持ちでした。25歳の節目という意味ではいいタイミングですが、まだ自分には早いと思っていたので、お話をいただけてありがたかったです。

撮影/石川真魚

――25歳という年齢に実感はありますか?

坂ノ上:年々、気持ちが実年齢に追いつけなくなっている気がします(笑)。大学生の頃とあまり変わっていないですし、まったく25歳らしくないと思います。大学に通っている頃からお仕事はさせてもらっていましたが、学生ではなくなったことで今まで以上に仕事に対する意識は強くなりました。20代も折り返しなので、胸を張って「女優です」と言えるように、仕事も頑張って、気持ちも大人になっていけたらいいなと思います。

――地元の熊本県での撮影は、ご自身の要望ですか?

坂ノ上:写真集のテーマを考えたとき、一番ピンときたのが熊本での撮影でした。せっかく熊本に帰って撮影するなら、生まれ育った風景や愛着のある場所を取り入れたいなと思ったので、実家や通っていた高校で撮影したいと提案しました。

――実家で写真集の撮影をするって、すごく不思議な感じがしそうですね。

坂ノ上:不思議でしたし、普段の帰省とは違うので両親もビックリしていたと思います。撮影を許してくれて良かったです。両親も、すみっこで邪魔にならないよう撮影を見学してくれました。

――親の前で仕事をする機会もなかなかないですよね。

坂ノ上:熊本で仕事があるときは何度か現場に呼んだことがあります。スタッフさんも「呼んでいいよ」と言ってくださったので。以前、地元の特番で旅ロケがあって、ゲストに俳優の大谷良平さんが来てくださったんですけど、お母さんとおばあちゃん、「大谷さん、背ぇたっかねー」って、大谷さんに会えたことを喜んでたんですよ! 「え、私は?」ってちょっと複雑だったんですけど(笑)。仕事をしている姿を見てもらって、安心してもらえたらいいなと思います。

――それは複雑ですね(笑)。普段実家に帰省したときはどんなふうに過ごしてますか?

坂ノ上:実家に帰ったときは、基本グータラしています。上京して一人暮らしを始めてから、ご飯は作らないと出てこないんだ、お風呂は沸かさないと入れないんだ、洗濯物は最初から畳んであるわけじゃないんだ……と当たり前のことを実感させられて(笑)。何日間か帰省するとなったら1日くらいはお手伝いしますけど、実家に帰ったらほっとしますし、甘えてしまいますね。

――久々に行った高校はどうでしたか?

坂ノ上:成人式の日以来なので5年ぶりに高校に行ったんですけど、雰囲気は全然変わっていなかったです! 地震の影響で少し崩れている部分はありましたが、もともと昭和っぽさが残る古きよき学校なので。

――高校時代はどんな学生だったんですか?

坂ノ上:一応共学でしたが、私たちの学年は女子しかいなくて、ほぼ女子校みたいな感じでした。校則の厳しい学校で、髪の毛が肩より長かったら束髪、メインバックは黒カバンでリュックは禁止など、いろいろ決まりがありましたね。ですが入学したての頃は、スカートを短くしてみたり、おしゃれを楽しんでいたんですけど、二年生になると先生に怒られるのも面倒に感じてきて、スカートも短くせず、おしゃれもしなくなりました(笑)。私たちの学年は女子しかいませんでしたが、一つ下の学年は、男女共学推進活動があって男子生徒が40人ほど入ってきたためか、卒業するまでおしゃれでいようとしていたみたいで。やっぱり男子の目があると違うんだなって、先生も言ってましたね。

――撮影で熊本に帰ってみて、新たに発見などはありましたか?

坂ノ上:東京の物価を知ったからか、学生にも優しい値段でそれなりの量が食べられるご飯屋さんが多くて、破格だったんだなと(笑)。それに、海が綺麗な場所だとは思っていましたが、歳を重ねたからこそ感じられる美しさにも気づいて、改めて素敵な場所で育ったんだなと思いました。

――タイトル『あかねいろ』にちなんで、夕焼けをバッグに撮ったシーンもありますが、そのときのエピソードを教えてください。

坂ノ上:夕焼けは「茜」という名前の由来でもあるので、事前に撮りたいですとお伝えしていました。天気の関係上、夕焼けの写真が撮れる時間帯は限られているで、その日は絶対に夕焼けの写真を撮ろうと決めて、夕焼けファーストで行動していました。写真が撮れたので市内に戻ろうと移動を始めたタイミングで大雨が降ってきたんですが、撮影中は本当に天気に恵まれました。撮影全体を通して、雨予報の日もありましたし、熊本に着いたときも、空港から市内に向かうタイミングは大雨や落雷があって不安だったのですが、撮影を始めると見事に晴れてくれて「私、晴れ女だったのかな?」と。

――とても綺麗な写真が撮れましたよね。この一枚を撮るために写真集を作ったと言っても過言ではないくらい。

坂ノ上:本当にそうですね。最初は海に入る予定はなかったのですが、勢いで服のまま飛び込んだのも思い出です。寒くて、海から出たあと震えていたんですけどね(笑)。

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