『銀魂』高杉晋助の”圧倒的カリスマ性” 単なる悪役で終わらない魅力とは?

『銀魂』高杉晋助の”圧倒的カリスマ性” 単なる悪役で終わらない魅力とは?

 2021年1月8日公開のアニメ劇場版『銀魂 THE FINAL』に向けて、10月7日より『よりぬき銀魂さん ポロリ篇』(テレビ東京系)が放送されている。万事屋メンバーはもちろん近藤勲、土方十四郎、沖田総悟の真選組メンバー、桂小太郎、長谷川泰三、星海坊主など、主要メンバーもひと通り登場するが、主要メンバーにもかかわらずギャグパートである「ポロリ篇」に出演しないメンバーがいる。鬼兵隊総督・高杉晋助である。

 高杉は「攘夷志士の中で最も過激で最も危険な男」(土方談)と言われており、倒幕することに執着して過激な手段を取ることも珍しくない。左目の眼帯、派手な着物、煙管という出で立ちで、薄ら笑いを浮かべているどこか狂人的雰囲気がある、“狂気に満ちたテロリスト”である。

俺ァただ

壊すだけだ

この腐った世界を

 作中に度々出てくるこのセリフからは、世界を憎み、強い恨みと破壊衝動を持て余している様子が手にとるように分かる。だが、高杉の魅力は単なる悪役ではないところにある。

 まずは、圧倒的カリスマ性を併せ持っていることだろう。実際、読者による人気投票でも常に5位以内に入っており、高い人気を誇っている(かくいう筆者も高杉ファンで、自宅には高杉のフィギュアが並んでいる)。そのカリスマ性は、銀時や桂にも引けを取らない剣の腕前を持っていること、宇宙海賊団・春雨や幕府の一橋派とつながりを持てるほどの交渉術、人心掌握術があることに起因するのではないだろうか。結果、廃刀令が出されて侍たちの力が弱まっている江戸時代末期(『銀魂』の舞台)に、武力によって倒幕を目指すという高杉の考えに賛同した人々が集い、鬼兵隊ができたというわけだ。

 もう一つは、銀時や桂と根本の部分は同じであるということ。テロ行為などで幾度となく倒幕を目論んできた高杉は、作中では分かりやすく「敵」であり、「紅桜篇」で銀時や桂と袂を分かつことになった。しかし、物語が進むに連れ、高杉の胸の内が明るみに出てくると、銀時や桂と変わらない存在であるということが分かる。高杉の行動は、「恩師である吉田松陽を奪われた」という過去にとらわれ、「松陽を奪ったこの世界を壊したい」という彼なりの正義のもと起こされたものだったのである。彼のセリフを振り返ると、多くにその思いが込められている。例えば、奈落に扮して牢獄に捉えられた徳川定々(松陽を捉えて処した張本人)を始末した時。

たとえ

将軍だろうと

天であろうと

誰にも

お前は

裁かせねェ

お前を裁くのは

この俺だ

 このセリフからは、松陽を奪った裁きは自分以外にさせないという強い意志を感じる。一方で、狼狽える定々に向かってこう言ったこともある。

いずれ天導衆…

ふざけた烏ども…

いや世界の首ひっさげて

地獄へいくからよォ

先生に

よろしくな

 「地獄へいく」と言っていることを考えると、高杉も自分の行動を正しいとは思っていなかったのではないだろうか。ただ、居心地の悪い環境から自分を救ってくれた松陽が奪われた、という怒りに囚われ続け、抜け出せないでいるだけなのだろう。もちろん、銀時も桂も恩師を失った過去を嘆いており、この世界を忌まわしく思っていないはずがない。特に、自ら松陽を手に掛けた銀時はなおさらだ。高杉は少しだけベクトルが違ってしまっただけなのだ。実際、朧が今井信女に銀時と高杉は松陽に似ているか問うたとき、「似てない。一人は松陽が残したものを守ろうとしていた。一人は松陽の残したものを壊そうとしていた。でも同じだった。二人とも悲しい目をしていた」と語ったこともある。

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