『銀魂』坂田銀時はジャンプらしくない主人公? ギャグとシリアス、ギャップの魅力

『銀魂』坂田銀時の魅力とは?

 2021年1月8日に完全新作にしてアニメ版ラストとなる『銀魂 THE FINAL』が公開される。それに先駆けて、10月7日からは数あるシリーズより『よりぬき銀魂さん ポロリ篇』(テレビ東京系)が放送。再び『銀魂』界隈が盛り上がりを見せている。

 『銀魂』は2004年から連載がスタートした、誰もが知る作品。アニメはもちろん、映画、実写映画、Web、ゲーム、小説、キャラクターズブック……と数え切れないほどの展開がされており、老若男女問わず人気を博した作品だ。約15年半に及んだ連載は、惜しまれつつも2019年6月20日を持って完結。SNS上には原作者・空知英秋に対する労いと感謝の声が多く挙がっていた。多くの人に愛された作品だけに、毎回キャラクター人気投票は『週刊少年ジャンプ』上でも大いに盛り上がっていたように感じる。その不動の1位は、主人公・坂田銀時。本稿では、その坂田銀時の魅力を探ってみたい。


 天然パーマの銀髪がトレードマークの坂田銀時は、何でも屋「万事屋銀ちゃん」を営んでいる侍。いつも気が抜けた顔をしており、真選組副長・土方十四郎からは「死んだ魚のような目」と言われたこともある。かつては攘夷戦争に参加し、伝説の攘夷志士「白夜叉」と呼ばれていたこともあったが、今ではマイペースな怠け者が板についてしまっている。実を言えば筆者は連載当初、「ほぼプータローのような生活をし、ダラダラと糖分ばかりを摂取しているこの男が『週刊少年ジャンプ』に連載されている漫画の主人公なのか……」と思ったことすらある。だが、話が進んでいくと見事な『週刊少年ジャンプ』の主人公になっていったのだから、驚きだ。

 そんな銀時は、攘夷志士だった頃、恩師である吉田松陽との過去、「スナックお登勢」の2階に「万事屋銀ちゃん」を開いた理由など、過去を紐解けばキリがないほど魅力が出てくる。その中で1つ挙げるとすれば、「普段と本気になった時のギャップ」ではないだろうか。そもそも『銀魂』がこれだけ多くの人に愛されてきた理由は、ギャグパートとシリアスパートのメリハリだろう。銀時は、そんな本作を象徴するキャラクターだ。いつもふざけていたり、無気力さが全面に出たりしているが、シリアスパートの長編に入った時はとにかく煌めく。そして、かつて「白夜叉」と呼ばれていただけあって戦いにおいても強い。痛手を負うことは多いものの、最後は必ず相手を討ち、読者を魅了し続けてきた。しかも、その動力源となっているのが「情」というのがたまらない。

 例えば、「真選組動乱篇」で鬼兵隊のNo.2・河上万斉とやりあった時。万斉に「貴様は何がために戦う! 何がために命をかける!」と問われた銀時は、こう答えている。

今も昔も俺の護るべきもんは何一つ

変わっちゃいねェェ!!

 このシーンには、これまでを振り返るようなコマが挿入されているのだが、そこには万事屋メンバーやお妙、真選組メンバーなどを回想するようなカットが散りばめられている。そこから、銀時にとっての「護るべきもん」とは、仲間たちを指しているのではないかと推測できる。

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