ハイヒールを履いた僧侶・西村宏堂が語る、LGBTQと仏教 「大切なのは“みんな平等に救われる”と伝えること」

僧侶・西村宏堂が語る、LGBTQと仏教

メイクも仏教も、「やりたいことをやっている」だけ……次の夢はNHKメイク講座

――メイクアップアーティストであることと、僧侶であることは、西村さんにとってどのようにリンクしているのでしょうか。

西村:私の芯にあるのは、過去に自分がつらかったから、今そう感じている人を助けたいという気持ち。なので、メイクアップの仕事も仏教も同じモチベーションで取り組んでいます。外見でもっと自信を持つ術を教えること、そして劣等感を感じている人に「仏教では皆平等だ」と助言することは、私が相手を応援しながら、自分をも応援しているのだと思います。

――今はコロナの影響でストレスをためている人がたくさんいますね。

西村:それぞれの人が、それぞれの生き方をしているのだから、こう考えるようにした方がいい、こう行動した方がいい、というのは一概には言えないと思います。他者に対し批判的な発言をするべきではないと感じます。仕事で外出しなければいけない人もいるのですから、コロナにかかった人に対して、「こんなときに外に出るなんて馬鹿じゃないの」と相手の立場を理解せずに批判することはできないですよね。相手の境遇を全て理解することは決してできないことです。

――西村さんはいまどんなふうに毎日を過ごされていますか?

西村:私自身は、「コロナでなかったら、これがしたかったな」というのを書きだしています。例えば私は海外旅行に行きたいと思いますが、今は難しいので世界のニュースやドキュメンタリーを観て、見聞を広める努力をしています。

――やりたいことや夢に対する姿勢は、著書の中でもたくさん書かれていますね。10年後にタイムスリップしたつもりで自分の成功を祝う「ご褒美ディナー」のエピソードは自分もやってみたいなと思いました。

西村:夢について、本当にかなったかのように具体的に話すことで、それをかなえられる自分がつくられると感じました。自分は夢をかなえられる人間なんだとしっかり自覚することによって、それに向かっていく恐れとか「私なんて」という気持ちがなくなります。夢がかなった自分を明確に想像できると、夢を実現できる可能性が大きくなると思います。実際に、友人とのご褒美ディナーで話をした『クィア・アイ』への出演や、ずっと出したかった本も刊行することができました。

――今はどのような夢を描いていますか?

西村:そうですね……。今、私が友達と「ご褒美ディナー」をするとしたら、次のことを話そうと思っています。「世界の人に著書を読んでもらえて、喜んでもらえてうれしかった」「世界を旅して自分の価値観と、その土地の人の価値観を共有して、お互いが学びあえて楽しかった」「NHKのメイク講座が決まりました!」などです。

 今はコロナのためになんとなく閉じ込められているような気持ちになりそうな状況ですが、自由が少ないからこそ余計にそれを求める気持ちが強くなる。でも、人生は有限だから、今は自分ときちんと向き合って、やりたいことのリストを膨らませるいい機会と捉えるようにしています。そして、チャンスがあればしっかり実現していきたいです。

■西村宏堂プロフィール

1989年東京生まれ。浄土宗僧侶。ニューヨークのパーソンズ美術大学卒業後、アメリカを拠点にメイクアップアーティストとして活動。ミス・ユニバース世界大会やミスUSAなどで各国の代表者のメイクを行い、ハリウッド女優やモデルからも高い評価を得る。LGBTQ啓発のためのメイクアップセミナーも行っている。2015年に浄土宗の僧侶となる。ニューヨーク国連本部UNFPA(国連人口基金)や、イェール大学、増上寺、TEDx Talksなどで講演を行い、その活動は、NHKやBBC(英国放送協会)など、国内外の多くのメディアに取り上げられている。本書が初の書籍となる。西村宏堂オフィシャルホームページ:https://www.kodonishimura.com/

■書籍情報
『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』
著者:西村宏堂
出版社:サンマーク
定価:本体1,300円+税
https://amzn.to/2YNNqto

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