『宇宙兄弟』六太は優柔不断で日々人はヒーロータイプ? FFS理論でわかる、人それぞれの強み

FFS理論で読み解く『宇宙兄弟』

「凝縮姓」……固定・強化させようとする力の源泉となる因子。他人に流されずブレないが、頑固な一面も持つ。
「受容性」……外部を受け入れようとする力の源泉となる因子。面倒見が良く柔軟性も高いが、経験値が低いとキャパオーバーになることもある。
「弁別性」……相反する二律にはっきり分けようとする力の源泉となる因子。合理的な判断ができるが、割り切れない感情的な問題ではドライな印象を周囲に与える。
「拡散性」……飛び散っていこうとする力の源泉となる因子。活発で行動力があるが、飽きっぽく周囲を振り回すこともある。
「保全性」……維持するために工夫改善していく力の源泉となる因子。プランを立て一つ一つ実行していく事は得意だが、慎重すぎて行動に移せないこともある。

 あなたに当てはまる因子はあっただろうか?

 主人公の南波六太は、保全性と受容性が高く、弁別性も備えている。身近な人の役に立つことに幸せを感じ、合理的な判断力もあり、技術者としても着実に力をつけていく。しかし、優柔不断で自信が無いため一歩を踏み出すことができない。異色の主人公かもしれないが、日本人にも多いタイプのため共感する読者も多いのではないだろうか。

 六太の弟である南波日々人は、拡散性と受容性が圧倒的に高い。興味のあることには後先考えずに行動するため、夢への到達は人より早いかもしれない。しかし完全無欠と言うわけではなく、組織のビジョンや理念に共鳴しないと個人の実力頼みになってしまうため力を発揮できないこともある。ヒーロータイプではあるが、日本人にはあまり見られないタイプの性格だ。

宇宙兄弟 1巻
 『宇宙兄弟』の物語でも私たちの世界でも、人は一様ではなく、組織運営の答えも一つではない。そして、金満球団のごとく制限なしに人的リソースを補充できる組織など滅多にないはずだ。個人の理解、他者の理解、そしてその組み合わせでしか組織は回らないし、個人の力も発揮できない。

 宇宙にまで飛び出す人は極僅かかもしれないが、いま所属する組織や人生の中で、限られたリソースをもって成果をあげなければ生き残れず、個人の夢も目標も達成できないということは、多くの人が日々の生活で実感していることではないだろうか。わたしたちは誰もが「宇宙船」の中で工夫する努力を求められ生きているのだ。

 なお、本書は質問表も掲載されており、『宇宙兄弟』を読んでいない人でも自分の強みを診断できる。占いや心理テストのつもりで読み楽しむのもいいし、馬が合わない人との付き合い方のヒントも見つかるかもしれない。さて、あなたの強みとはどんなものだろうか?

(文=MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店・社会書担当 中田英志郎)

■書籍情報
『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』
著者:古野俊幸
出版社:日経BP
価格:1,980円(税込)
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/20/278820/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ビジネス」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる