人間よ、我々の恐ろしさを知るがいい! 超絶極悪な「悪の秘密結社ネコ」とは?
組織メンバーの意外な一面に涙……
しかし、本作はただ笑えるだけではない。悪の秘密結社ネコに所属するメンバーたちの素性やギャップ、意外な過去などを知ると、鼻の奥がツンとすることもある。
中でも、パワー系幹部猫「デストロイヤー」の過去は心に染みた。野良猫だったデストロイヤーは弱肉強食の世界を生き抜く中で、強くなってくそったっれなものを全部ぶっこわせるようなデストロイヤーになると決意。自らデストロイヤーと名乗り始めたのだ。
そんな時出会ったのが、ひとりのおばあさん。自分のことを「しまおちゃん」と呼び、家に迎え入れてくれたおばあさんはなんだか弱そう。でも、いつも他人やデストロイヤーのことばかりを考えている……。そんな姿を目にするうちに、デストロイヤーは傍から離れられなくなってしまう。自称・最強の男が唯一の弱点だと認めるのは、なんと飼い主なのだ。
こうした心温まる描写にホロリとしてしまうことも、もしかしたら猫元帥の計画のひとつなのかもしれない。けれど、それでもいいやと思える自分がいる。「ニャー」というひと鳴きを聞けば尽くし、すべてを猫に捧げる生活は筆者にとって幸せだと誇れるものだから。
人間を洗脳して意のままに操るのに、その人をなぜか笑顔にしてしまう不思議な力が猫にはある。人間界を支配しようとする悪の秘密結社ネコ。その力がより広範囲に及ぶよう、これから筆者も人間会員として尽力していきたいと思う。
■古川諭香
1990年生まれ。岐阜県出身。主にwebメディアで活動するフリーライター。「ダ・ヴィンチニュース」で書評を執筆。猫に関する記事を多く執筆しており、『バズにゃん』(KADOKAWA)を共著。
■書籍情報
著者:ぱんだにあ
出版社:イースト・プレス
価格:本体800円+税
https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781618951