松原タニシが語る、事故物件のリアルな怖さ 「人の怖さだったり、土地の怖さもある」

松原タニシが語る、リアルな事故物件

1冊目と2冊目の違い


――『恐い間取り2』では話のバリエーションが増えたと思うのですが、意識しましたか?

松原:1冊目は、事故物件に関わって5年間、番組に出させてもらったり、怪談のイベントで喋ったりしたことの集大成で、現状あるものをパッと詰め込んだ感じだったのですが、2冊目は本当にゼロからでした。従来の怪談とされる、事故物件でお化けが出て、不思議なことが起きてっていう、みなさんが想像できそうな話じゃなくて、もっとみなさんの知らない事故物件というか、気づいていない部分を抽出すべきじゃないかなと思ったんです。お化けの怖さだけじゃなくて、もっといろんな怖さというか。人の怖さだったり、土地の怖さだったり。

――事故物件に住んでいても、なにも起きないことも多い?

松原:多いです。基本は全然大丈夫なんです、事故物件って。

――収納かと思って開けてみたら、大きな湯沸かし器が入っていた話もありました(笑)。

松原:書かなくてもいい話ですよね(笑)。あれは絶対、1冊目では書けなくて、2冊目だから書けた話です。でもそれがあるから、事故物件だからといって必ずなにかが起きるわけじゃないということが証明できた。2冊目はファンタジーじゃない世界というか、より読者に近いリアルな世界だという気がします。

――以前、住んでいたところにもう一回行ってみた話も、いいなと思いました。

松原:2冊目では6軒目から10軒目まで住んだけど、自分でも気になっていた部分でした。あの物件、どうなってるんだろう、なにか変化はあったのか?と。

――読者の方から、「実はわたしも事故物件に住んでます」みたいな話もありますか?

松原:よくありますね。収録させてもらったものもあります。ただ、実際に行ってみて、“まだそこにある”という信ぴょう性は大事にしています。SNSとかでもいろんな話を聞くんですよ。「わたしの住んでた部屋がこうでした」とか。でも、「いまもあるんですか?」って聞くと、「どこかわからなくなっちゃいました」とか、「もう取り壊されてます」というのが多い。ちゃんと辿り着けたものだけ集めるようにしています。ちゃんとそこでそういうことがあった、というのに興味がある。

――絵画や人形などのアイテムの話も興味深かったです。本書に出てきた松原さんの家が人形だらけで、驚きました。

松原:人形、めちゃめちゃあるんですよ。だから僕も雑に扱ってしまってるんですけど(笑)。でも怖いことはなんもなかったですね。何度捨てても戻ってくる「ピエロの絵」は怖いですけどね。そもそも持ってる人が怖い(笑)。幸いまだ僕にはなにも起きずに、まだ部屋に置いてますけど。

――本に書いていない話でも、アイテムの話は結構ありますか?

松原:ビジュアル系ミュージシャンの肩幅ヒロシさんという方が、怪談イベント中に「親父が刑事だったので、形見の手錠があるんです」と言っていて。外国で極悪犯罪者が着けていた本物の手錠が、海外旅行に行ったときに売っていたそうなんです。それを親父さんが買ったらしくて。手錠を開ける鍵がキリストの十字架になっていて、その鍵が曰く付きだという話でした。

「よかったら送ります」と言われて、送られてきたんですけど、ホンマの手錠なんですよ。重たくて、使い込んだ感じ。すごいなあと思っていて。そしたら後日、肩幅ヒロシさんからメッセージが来て、「すいません、キリストの鍵がなぜか行方不明なんです。だからその手錠を一回着けちゃうと、二度と開けることができません。だから絶対に着けないでください」って。あぶねえ! 試し掛けするとこやった!って(笑)。

――ミュージシャンの方って、皆さん怖い話を持ってますよね。

松原:持ってるんですよね。ライブハウスの話も書きましたけど、「絶対に場所は明かさんといて」って言われてるんです。オーナーにバレたらヤバいからって。だから本では、わからないように余分な間取りを省いたりしました。

 テレビ局とか小学校、ハウススタジオ、ライブハウス、劇場。そういうところによく出るって言われている理由が最近わかったんですよ。曰く付きの安い土地や物件を借りたり買ったりすることが多いからなんですよね。とくに学校とか劇場とか作るための、広くて安い場所ってなったら、元々お墓だったりする。ライブハウスも安いテナントを探して、実は曰く付きだった場所に作ってるんだろうなという気はしますね。

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