ジャンボ鶴田は能力の全てを出し切ったのか? “永遠の最強王者”の軌跡を振り返る
こうして振り返ると、やはり鶴田はその能力の全てを限界まで出すことはただの1度もできなかったのではないかと思う。そういう意味では不幸なレスラー人生だったのかもしれない。自身のフィジカルの器が大きすぎて、それを受け止めることができる、更に大きい器をもったアスリートが目の前にいたら、そのときは鶴田の持つ「怪物」の全てを見ることができたのだろう。ただ、もし鶴田が全ての力を出せる機会がなかったとしても、我々に見せてくれた鶴田の戦いは、ジャンボ鶴田が最強のレスラーであり、怪物であることを十分伝えてくれる、ファンに夢を与えてくれるものだったことは間違いない。
今現在、鶴田のようなレスラーがいるだろうかと思ったとき、ふとオカダ・カズチカの顔が浮かんだ。恵まれた体型、圧倒的な身体能力、底なしのスタミナ、1つ1つの技の説得力。オカダのほうがより客にアピールする要素は強いが、最近のオカダは戦っている最中に負ける姿が思い浮かばない。リングに立っているときのあの威圧感と存在感は、新日本にいながら猪木的というより鶴田のそれを感じずにはいられない。
■関口裕一(せきぐち ゆういち)
スポーツライター。スポーツ・ライフスタイル・ウェブマガジン『MELOS(メロス)』などを中心に、芸能、ゲーム、モノ関係の媒体で執筆。他に2.5次元舞台のビジュアル撮影のディレクションも担当。
■書籍情報
『永遠の最強王者 ジャンボ鶴田』
小佐野景浩 著
価格:1,800 円+税
出版社:ワニブックス
公式サイト