ブレイディみかこ最新刊『ワイルドサイドをほっつき歩け』発売2週間で10万部突破
ブレイディみかこの最新刊『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』が、6月3日に刊行され、発売2週間で10万部を突破した。大ヒットとなった前作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に続く待望の新刊ということもあり、本書には発売前から大きな注目が集まっていた。
発売1週間前に刊行前重版が決定し、さらに発売直後から好調な売り上げが続き、発売2週間で早くも5刷目の重版、累計発行部数は10万7000部となった。(2020年6月17日現在)
著者・ブレイディみかこの前作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、Yahoo!ニュース本屋大賞2019ノンフィクション本大賞、第73回毎日出版文化賞特別賞などを受賞し、大きな話題作となった。「『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で青竹のようにフレッシュな少年たちについて書きながら、そのまったく同じ時期に、人生の苦汁をたっぷり吸い過ぎてメンマのようになったおっさんたちについて書く作業は、複眼的に英国について考える機会になった。二冊の本は同じコインの両面である。」と、著者があとがきに記したように、本作では夫とその友人たちを中心とした“おっさん(おばさん)”たちをめぐるエピソードから、イギリスの今を浮かび上がらせている。
2冊に共通しているのは、EU離脱といったイギリス固有のエピソードはあるものの、描かれているのが多様性、差別、格差、貧困といった社会の複雑さや困難を前にした時の、市井の人々のマクロな考えや行動、反応であるといった点。社会が個人を守ってくれると信じられた時代から、新自由主義、緊縮財政などで競争激化へと変容していく現代。世界中、そして日本でも分断や緊縮が広がる中、自分たちの意思で立ち上がる人々を描いた両作からは、時に日本社会も透けて見える。本作で失業や離婚に落ち込みながらも恋をしたり問題に立ち向かったりする人々の姿は、日常が揺らいでいるさなかにある私たちにも重なり、一人ひとりが考えを持って生きる人間であり、たとえ思想が異なったとしても相手を理解し共生していくというメッセージが、他者への視線が厳しくなりがちな今重みをもって響き、読者を増やしていると考えられる。
書店員コメント
ブレイディさんはソウルフルでパワフルでハートフルだから、出会ったおっさん(おばさん)たちの人生が 笑いと哀愁で響いてくる! 人っていいなとしみじみ思う。 ブレイディさんからの愛ある粋なエッセイです!ーー山田恵理子氏(うさぎや 矢板店)
熱いハートとパワーみなぎるおじさんとおばさんの生き方に、元気と勇気をモリっといただけました!! 多様化するイギリスを生きぬいている“最高にかっこいい大人”だと思います。この作品を読み終わっても私の心にずっと熱いパワーが生き続けています。ーー宗岡敦子氏(紀伊国屋書店 福岡本店)
読み手の核心をグサリとついてきてどの章もハッとさせられました。“人が人をバッシングしだす時は社会全体に余裕がない時”という言葉は今だからこそ特に心に刺さりました。ーー(NET21 井上昭島店)
グローバル社会を生きていく中での考え方をこの本から学ぶことができると思います!いまこそ本書を手に取り、声高に自己主張しようじゃないですかー!(でも飛沫には気をつけて)……という風に、熱が入りすぎて語りが止まらなくなる一冊でした。ーー齋藤一弥氏(紀伊國屋書店 仙台店)
「あ~イギリスのおっさん達の話なのね、ハイハイ。」と軽くは流せないブレイディさんの愛すべき隣人たち。自身の老後も見えてきた年代の彼らがそれぞれの自己表現をしている姿は、興味深く、読み応えバンバ ンあるエッセイでした。失敗もカッコ悪い所も沢山見せあいながら、元気に生きていきたいものですね!ーー藤村結香氏(宮脇書店 本店)
著名人コメント
世界でいちばん愛すべきおっさんたち(&おばさんたち)が、ここにいる。あんたら、最高すぎるんだけど……ーー高橋源一郎(小説家)
イギリスの市井の人の魅力を引き立てるブレイディさんの愛と観察眼と筆力に心を丸ごと持っていかれた。一編一編が人情に満ちた極上のドラマ!ーーヤマザキマリ(漫画家/随筆家)
高みからレッテル貼ってるだけじゃわからない、厄介で愛おしい人生たち!ーーライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)
イギリスというとジェームズ・ボンドとか、ベッカムとか、かっこいいイメージがあったけど、日本のおじさんとちょっと近いところがあって、登場人物にすごく親近感がわいた。僕らの年代的にもちょうどいい。名曲のパターンによくあるけど、本書は前作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』との両A面!ーー博多華丸(お笑い芸人)
■書籍情報
『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』
著者:ブレイディみかこ
装丁:岩瀬聡
出版社:筑摩書房
価格:本体1,350円+税
http://www.chikumashobo.co.jp/special/wildside/
■ブレイディみかこ プロフィール
ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。県立修猷館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年、『子どもたちの階級闘争』(みすず書房) で第16回新潮ドキュメント賞受賞。2018年、同作で第2回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第2回Yahoo! ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞、第7回ブクログ大賞(エッセ イ・ノンフィクション部門)受賞。著書は他に、『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』(ちくま文庫)、『アナキズム・イン・ザ・UK』(Pヴァイン)、『ヨーロッパ・コーリング――地べたから のポリティカル・レポート』(岩波書店)、『 THIS IS JAPAN ――英国保育士が見た日本』(新潮文庫)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、『労働者階 級の反乱――地べたから見た英国EU離脱』(光文社新書)、『女たちのテロル』(岩波書店)などがある。