いきものがかり「生きて、燦々」で手にした“壮大さと奥深さ” 『キングダム』との邂逅で新たな表現の境地へ

いきものがかり『キングダム』を彩る表現力

 いきものがかりが『SONGS』(NHK総合/10月16日放送)に出演した。

 番組のテーマは、〈なぜ、いきものがかりは愛され続けるのか?〉。NHKの音楽番組『玉置浩二ショー』での玉置との「帰りたくなったよ」のセッション、ライブ(日本武道館での単独公演『いきものがかり 路上ライブ at 武道館』)で小田和正と披露した「SAKURA」などの貴重映像を振り返り、さらにハンバート ハンバートとのスタジオでのトークやアイナ・ジ・エンドへのインタビューなどを通し、いきものがかりが幅広い支持を得ている理由を深堀り。また、いきものがかりがオープニングテーマ「生きて、燦々」を書き下ろしたTVアニメ『キングダム』(第6シリーズ)の原作者・原泰久のコメントも紹介。“軍勢をイメージした”という150人超のコーラス隊とともに「生きて、燦々」をテレビ初披露した。

いきものがかり『SONGS』場面写真

いきものがかり『SONGS』場面写真

いきものがかり『SONGS』場面写真

いきものがかり『SONGS』場面写真

 昨年、結成25周年を迎えたいきものがかり。親しみやすさと奥深さを兼ね備えた二人の音楽は、ここにきてさらに幅広いリスナーに浸透しているようだ。

“らしさ”と“新しさ”を極めた先で辿り着いた「生きて、燦々」

 今年4月にはメジャー11 枚目となるオリジナルアルバム『あそび』をリリース。シングル曲「運命ちゃん」「晴々!」「青のなかで」「ドラマティックおいでよ」「会いたい」のほか、メンバー以外のクリエイターが作詞した楽曲「自画像 meets あそび ゆう」「あの日のこと meets 蓮見翔」、さらにハンバート ハンバート、fox capture plan、松下奈緒をフィーチャーした楽曲も収録され、“らしさ”と“新しさ”が絶妙にブレンドされた作品となっていた。

 さらに6月から7月にかけてアリーナツアー『いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2025 〜ASOBI〜』を開催。アルバムの楽曲はもちろん、ライブの定番曲や未発表の新曲などを交えたセットリスト、さらに2つのステージ(メインとセンター)を活かした観客との一体感を生み出す演出など、ライブにおいても新たな表情をしっかりと見せつけた。

 そして数カ月のインターバルを経て届けられた新曲が、10月12日に配信リリースされた「生きて、燦々」だ。アリーナツアー『ASOBI』でいち早く披露されたこの曲は、『キングダム』オープニングテーマとして書き下ろされたことも相まって、スケール感、歌詞に込められたメッセージの深さ・強さを含め、いきものがかりの新たな到達点と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。

いきものがかり「生きて、燦々」【from NHK SONGS】

 吉岡聖恵(Vo)が高らかに歌い上げる〈疾れ 疾れ 振り向かずに/踊れ 踊れ 夢の果てで〉というフレーズ、壮大さと疾走感を併せ持ったストリングスから始まる「生きて、燦々」。まず印象に残るのは、楽曲全体のスケールの大きさだ。軸を担っているのはギター、ベース、ドラム、ピアノによる生々しいバンドサウンド。全編にオーケストレーションが加えられ、スペクタクル満載な劇伴のようなオーラをまとっているのだ。繊細な電子音なども散りばめられ、クラシカルな雰囲気と現代的なポップ感をバランスよく配合しているのもポイントだろう。編曲は、いきものがかりの楽曲に数多く関わってきた島田昌典。アリーナツアーにも参加した室屋光一郎ストリングスの力、そしてもちろん、作詞・作曲を手がけた水野良樹(Gt/Pf)の技術とセンスも惜しみなく注ぎ込まれている。

いきものがかり、現代に問うメッセージ

 〈生きて/生きろ/燦々〉という最後のフレーズに象徴される、「生きるとは?」という根源的なテーマを内包した歌詞も強い。「生きて、燦々」には具体的なストーリーや背景は描かれず、ただただ〈君〉に向かって歌われている。過去から現代、未来へとつながる人の営みのなかに君もいる。そこにある絆は消えることがなく、だからこそ、自分自身の夢に邁進し、次の誰かにそれを手渡してほしいーーこれは筆者の解釈に過ぎないが、あまりにも混沌としている現代の社会において、この曲が放つメッセージは「人が生きる上でいちばん大事なことは何だろう?」という問いを聴く者に与えてくれるはずだ。

 深くて強い言葉たちを生き生きと躍動させる吉岡のボーカルも素晴らしい。水野が描く歌詞の主人公に寄り添い、いい意味で俯瞰しながら表現するのが吉岡の基本的なスタイルだと思うが、「生きて、燦々」では、彼女自身の生の感情が色濃く投影されているように感じる。そこにはおそらく、いきものがかりとして活動してきた25年という月日、そのなかで体験してきた様々な思いが込められているのだろう。

いきものがかり「生きて、燦々」【from いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2025 〜ASOBI〜】

 12月10日に発売となる『生きて、燦々』シングルCDには、アリーナツアーで公開録音された観客コーラスによる「生きて、燦々 -みなさん、こんにつあー!! 六万の声ver.-」も収録。東京、大阪、愛知、神奈川のオーディエンスの合唱により、いきものがかりとファンの確かな絆を改めて実感できるバージョンになっている。『キングダム』の連載スタート、いきものがかりのメジャーデビューはともに2006年。約20年の時を経て、ついに二つの道が交差し、「生きて、燦々」という楽曲へと結実した。『キングダム』といきものがかりの両者にとって、とても意義深い楽曲になったことは間違いない。

 韓国最大規模のJ-POP&Iconic Artist フェスティバル『WONDERLIVET 2025』で11月15日のヘッドライナーを務めるなど、活動のフィールドも拡大。世界的な人気を誇る『キングダム』とのコラボレーションを機に、いきものがかりはさらなる飛躍を果たすことになりそうだ。

いきものがかり『生きて、燦々』ジャケ写
いきものがかり『生きて、燦々』

◾️商品情報
いきものがかり『生きて、燦々』
2025年12月10日(水)発売
予約リンク:https://erj.lnk.to/i77ts7
「生きて、燦々」配信リンク:https://erj.lnk.to/o46g48

・完全生産限定盤(CD+BD+付属品):¥ 4,400(税込)
仕様:特殊仕様パッケージ/いきものカード076封入/B2ポスター封入/銀テープ封入
・初回仕様限定盤(CDのみ):¥1,650(税込)
仕様:いきものカード封入076(初回仕様のみ)

<収録内容>
【CD】
生きて、燦々
生きて、燦々 -みなさん、こんにつあー!! 六万の声ver.-
生きて、燦々 -instrumental-
【Blu-ray】
生きて、燦々 MUSIC VIDE
生きて、燦々 MUSIC VIDEO -Behind The Scenes 

いきものがかり オフィシャルサイト

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