ArakezuriがO-Crestから学んだもの  白井竣馬×室清登、「目の前の人に伝える」バンドとライブハウスに共通する信念

Arakezuri 白井竣馬×室清登 対談

 ロックバンドにとってのライブハウスは、「観客の前で演奏する空間」というだけではない。創作の契機となる発見、表現力を向上させる経験、大切な出会いなど、進化を遂げながら活動を重ねるために不可欠なものを得られる場所が、ロックバンドにとってのライブハウスだ。Arakezuriと渋谷のライブハウスSptify O-Crestの間にあるものも、まさしくそれに当てはまる。

 1月に開催されたZepp Shinjukuでのワンマンを大成功させるなど、ライブ会場の規模を着々と広げているArakezuriだが、時々O-Crestのステージに立つ。今回の対談でArakezuriの白井竣馬(Vo/Gt)とO-Crest店長・室清登が交わした言葉は、両者の関係性の深さ、そこから生まれ続けている前向きなエネルギーを伝えてくれている。(田中大)

初対面は「雰囲気がめちゃくちゃ怖かった」(白井)

ーーおふたりの最初の接点は?

白井:最初は……なんでしたっけ?

室:僕がO-Crestの店長をやめていた時期があって、その時にArakezuriが出てるはずなんだよね。僕は観ていないんだけど、1〜2回?

白井:1回だと思います。

室:その時、O-Crestにあまりハマらなかったみたいで(笑)。そこからまた時が経ってArakezuriが出た時に僕は店長として戻ってきていて、ライブを観たら「すごいいいじゃん」ってなって。その時話をしたよね?

白井:そうでした。6年くらい前、2019年頃だと思います。

室:最初の時、ウチにハマらなかった理由は、自分たちのやりたいことを優先的にやっていたのが、ライブハウス側から見て散らかった印象だったのかもしれない。でも、僕が初めて観た時はまとまっていた。まだお客さんの数が20人もいないくらいだったけど、曲はすごく良かったんだよね。リスナーにちゃんと伝わる曲を書いてたから。

白井:コロナ禍を挟んだのも変化に繋がったんだと思います。バンドの方向性についていっぱい考える時間があったので。コロナ禍が明けて、やっとお客さんにも声を出してもらえるように徐々になっていったじゃないですか? そういう中での空気感と、僕らがやりたいことが合致した感じがありました。

ーーO-Crestは、もともと白井さんの中でどういう印象のライブハウスでした?

白井:Crestに出たかったんです。僕らは滋賀のバンドですけど、東京にも自分たちのホームみたいに感じられる場所があったらいいなと。それがCrestだったらなという気持ちもありました。最初は「怖い」というイメージがあったんですけど。

室:怖い?

白井:室さんの顔が。

室:顔!(笑)。

白井:簡単には踏み込めないイメージがあって(笑)。でも、どうにか踏み込んでいきたいと思ってました。

ーー初対面の時のエピソードは、何かありますか?

白井:雰囲気がめちゃくちゃ怖かったんですよ。

室:たしかに雰囲気は怖いかもしれないですね。自分では意識してないですけど。

白井:「O-Crestの店長」という、その空気感が怖くさせていたというのもあると思います。

室:自分の考えとしては、いつの時代も若手バンドが目指してくれるような箱でありたいというのがあって。だから閉鎖的な空間にはしたくないんです。でも、音楽に対するちゃんとした評価はしたいなと思ってるから、ライブは真剣に観てるんですよね。

Arakezuri 白井竣馬

ーーArakezuriには、どんなアドバイスをしていました?

室:「もう少し歌上手くなったら?」とか。

白井:はい(笑)。

室:あと、「ギターの音、もっと良くしたら?」とか。でも、そんなにアドバイスはしなかったですよ。ライブが良くなかった時に「良くなかったよ」と言うくらいで。

白井:そこはちゃんと言っていただいていました。

室:ライブが良かった時は、僕もめちゃくちゃ嬉しいんですよ。O-EASTでのワンマンがすごく良くて。あれはすごく嬉しかったですね。その前のO-WESTのワンマンが悲しかったので。

白井:O-WESTは、自分の中でも思ったようにいかなかった印象が強いです。

室:でも、O-EASTはソールドアウトしなかった。それが心残り。

白井:「O-EASTを売り切らないと次に進めないなあ」という想いがあるので、いつかリベンジしたいですね。

O-Crest店長 室清登

ーーO-Crestを経て、O-WEST、O-EASTとキャパを増やしていくのがロックバンドのステップアップのひとつの形となっていますが、O-Crestが若手の登竜門でありたいという想いは、室さんの中にあるんでしょうか?

室:まずは出るのを目指してくれる場所でありたいというのはあるし、さらに大きい箱へと押し出したいという気持ちはありますね。

ーーO-Crestを経て、O-WEST、渋谷クラブクアトロ、恵比寿リキッドルーム、O-EAST、Zepp Shinjukuと進んでいるArakezuriは、ロックバンドの王道を辿っていますね。

白井:どうなんでしょう(笑)? でも、東京での最初の場所になったO-Crestには、特別な想いがあります。「まずはここ(O-Crest)を人でいっぱいにしたい」という気持ちがあって、初めてワンマンがソールドアウトした時は、めちゃくちゃ嬉しかったです。「たいせつ」の動画の再生回数が急激に伸び始めてからチケットもどんどん伸びて、ソールドアウトしたんです。

ーーその頃、地元のライブハウスのB-FLATでソールドアウトする状況は、すでに作れていたんじゃないですか?

白井:全然です(笑)。初めて200人キャパくらいのライブハウスのワンマンでソールドアウトできたのがO-Crestなんですよ。大阪とかでも全然ソールドアウトできていなくて。B-FLATは今までに一番ライブをやってきた場所なので、特別な想いがあるんですけど、他の場所でもお客さんに来てもらえるようになりたいという気持ちはずっとありました。

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