Hakubi 片桐「もっと強くなるね」 yonigeとの2マンライブで見つめたバンドの原点と未来

Hakubi『27』ツアー東京公演レポ

 その「2025」から繋げるように「Friday」を届けると、ギターをつまびきながら再び片桐が話し出した。

「27歳が来るの、ドキドキしてたし怖かったんですけど、27になっても楽しいことがいっぱいあるんですね。ここまで来てやっと見えたものとか、この歳になって初めて感じたこととか初めて見た景色とかいっぱいあったんです。生き延びてここまで来て、良かったなと思ってます。でももっと大きな広い世界を見たいと思ってます。一緒に見てくれますでしょうか?」

 そんな言葉に歓声が飛び、片桐は「心強いわ」と笑顔。「もっと強くなるね」と言うと、全力でギターを鳴らし始めた。疾走するバンドサウンドが炸裂する「クロール」だ。Hakubiの新たなスタートを刻んだこの曲を、フロアを指さしたりしながら片桐は歌う。音源よりもぐっと逞しさを増した「クロール」が会場を揺らすと、ライブは後半戦に突入していった。

Hakubiライブ写真(撮影=佐藤広理)

Hakubiライブ写真(撮影=佐藤広理)

 「渋谷、行けるか!」と「Eye」、さらに「mirror」と、過去曲たちも新たな息吹を得たようにいきいきと聴こえてくる。そして圧倒的な迫力とともに「光芒」を終え、いよいよ本編ラスト。「目に見えてしまう怖いこととか、嫌なものとか、迫ってくる絶望とか、目に見えないものに動かされてるよなって思います。歩いていったらその先にいいことがあるとは肯定できないけど、今でよかった」。そんな片桐の言葉とともに届けられたのは「しあわせ」だった。片桐の心情をまっすぐに伝えるこの曲は、幸せについて歌ったのではなく、幸せとは何かを問い続ける歌だ。答えは出ない。だからこそ、片桐とHakubiの物語は続いていく。曲の終わりに突如鳴り響く轟音と片桐の叫びは、そう言っているようだった。

 その後、フロアのアンコールに応えて再びステージに戻ってきたHakubi。ヤスカワがマイクを握って「アンコールやらないでかっこよく帰ろうかなと思ったんですけど、やりたくなったんで1曲だけやります」と言うと、片桐も「よかったあ」と大きい独り言。「安心してます、これでよかったんやなって」。そして本当の最後、片桐がギターを弾き歌い始めたのは「君が言うようにこの世界は」だった。世界に打ちのめされ、でもほんの少しだけそこに希望らしきものを見出していくこの歌がとても優しく、力強く鳴り響き、オーディエンスの手が揺れる。今のHakubiにふさわしい、とても美しいフィナーレだった。

Hakubiライブ写真(撮影=佐藤広理)

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