Hakubi 片桐「もっと強くなるね」 yonigeとの2マンライブで見つめたバンドの原点と未来

Hakubi『27』ツアー東京公演レポ

 5月21日に新体制初となるEP『27』をリリースしたHakubiが、大阪・東京でリリースツアーを開催した。大阪・心斎橋JUNUSでのワンマンライブに続く東京公演は、渋谷WWWXでの2マンライブ。片桐(Vo/Gt)がかつてカバーしていたこともあるyonigeとの対バンは、新たなスタートを切ったHakubiの力強さやたくましさを雄弁に物語る、エモーショナルな一夜となった。

 まずステージに登場したのはyonige。牛丸ありさ(Vo/Gt)がアコギをかき鳴らして「トーキョーサンセットクルーズ」を歌い出すと拍手が起きた。穏やかなメロディと柔らかなバンドサウンドがじんわりと広がっていく。「yonigeです、よろしくお願いします」という挨拶とともに曲を終えると、続いてアッパーな「our time city」へ。ドッカンドッカンと力強いリズムとギターリフに、フロアでは次々と手があがった。さらに「顔で虫が死ぬ」を畳み掛けると、「今年の2月に初めてHakubiを呼んで対バンをしまして」とHakubiとの出会いを語る牛丸。かつて片桐がカバーしていたということで、今回は片桐の好きな感じに寄せたセットリストにした、と伝えると、名曲「センチメンタルシスター」に入っていく。片桐がカバーしていた頃とはきっと違う手触りに進化しているこの曲が、yonigeの、そして片桐とHakubiの歩んできた時間を物語るようだった。

 その後も「ワンルーム」に「アボカド」と代表曲を畳み掛けてオーディエンスをぐっと掴みにかかると、一転、「Club Night」や「沙希」ではメロウなムードを描き出す。こうして寄せては返す波のようにアッパーもダウナーも一緒くたにしながらオーディエンスを巻き込んでいく感じこそこのバンドの真骨頂。フロアのオーディエンスもじっくりと耳を傾けている姿が印象的だった。牛丸の圧倒的な歌とそれをどっしりと支えるごっきん(Ba)やサポートメンバーによるバンドアンサンブルがスケール大きく広がっていく「対岸の彼女」を終えると、「丸腰で」回る47都道府県ツアーを告知し、28年ぶりに父親に会ったドキュメンタリーもお知らせすると、ライブは最終盤へ。遠くへ遠くへと歌を飛ばすような「春の嵐」を届けると、最後は「Super Express」。キラキラと輝くようなギターサウンドで手拍子を巻き起こして鮮やかにステージを締め括った。

Hakubiライブ写真(撮影=佐藤広理)
片桐
Hakubiライブ写真(撮影=佐藤広理)
ヤスカワアル

 そして転換を経て、Hakubiのステージが始まった。SEが止み、片桐が弾くギターのフレーズに4つ打ちのリズムとベースラインが重なる。「もう一つの世界」だ。サポートメンバーとも息を合わせながら、音も歌もどんどん熱を帯びていく。そのままの勢いで「最終電車」へ。青い光がステージを満たす中、ヤスカワアル(Ba)のずしりと重いベースが曲をドライブさせていく。さらに息つく間もなく「Error」へ。ヒリヒリとした音像と真っ赤なライトがWWWXの空気を一気に引き締める。エモーショナルな片桐のギターソロを経て一気に楽曲が展開していくのに合わせてステージを照らす明かりも明るく、眩く変化。ドラマティックな光景は息を呑むほどだった。

 ここで、ステージをスモークが覆い、けたたましいノイズが鳴り響く。場面をガラリと変えるようにして演奏されるのは「:||」。静謐と轟音のコントラストを鮮やかに描き出すサウンドに身を委ねるようにして、片桐の力感を込めた歌声が響き渡る。そして思いを吐き出すように「午前4時、SNS」へ。片桐ひとりをスポットライトが照らす中、彼女は体を激しく折り曲げながらギターをかき鳴らし、心の叫びのような歌を歌っている。爆発する感情そのままに加速していく楽曲。オーディエンスは乗るのも忘れて見守っている。曲が終わると、一瞬の間をおいて大きな拍手が巻き起こったのだった。

 「来てくれてありがとうございます」と片桐。息を切らしながらyonigeに感謝を伝えつつ、彼女たちとの出会いを振り返る。大学時代に最初にコピーバンドを組んだこと、それがHakubi結成につながったこと。バンドの楽しさを教えてくれたyonigeを呼んでライブができた喜びを口にすると、「本当に大好きです」と気持ちを伝える片桐。あの頃yonigeからもらった気持ちを引き合いに出しながら、「バンドの初期衝動のような最高のEPを出してツアーを回らせてもらってます。これからの希望を込めた曲、聴いてください」と「2025」を披露していく。自分自身を救い出し、その先へと手を伸ばす歌だ。先ほどまでとは打って変わって笑みを浮かべながら歌うと片桐の姿に、今ここに辿り着いたことへの手応えを見る気がした。

Hakubiライブ写真(撮影=佐藤広理)

Hakubi写真(撮影=佐藤広理)

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